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数学ガールに数学苦手なキャラクタが登場するという新しいチャレンジ

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年12月11日 Vol.350

はじめに

結城浩です。

いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

Web連載「数学ガールの秘密ノート」で、数学が苦手な新しいキャラクタ「ノナちゃん」が登場しました。

結城にとって、新キャラ登場というのは大きなチャレンジです。毎週の作品を書くときに、いろんなことを考えます。

考えた結果は作品として結実させるわけですが、今回の「結城メルマガ」では、そのプロセスにフォーカスをあて、掘り下げて考えてみました。

文章を書く人、物語を書く人、そして学んだり教えたりする人にヒントになるものが含まれていると感じます。

今回の「新しいチャレンジ - 本を書く心がけ」を、ぜひお読みください。

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英文和訳の話。

ある日の夜中02:45にふと目が覚めてTwitterをながめていたら、ファインマン先生のbotによるツイートが目に留まりました。こんな内容です。

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Question authority. No idea is true just because someone says so. Test ideas by the evidence gained from observation and experiment. If a favorite idea fails a well-designed test, it’s wrong!

https://twitter.com/ProfFeynman/status/1062763528401141760

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「そうだ、英文和訳してみよう」と思い、1時間ほど掛けて和訳してツイートしました。あなただったら、どんなふうに訳しますか。ちょっと考えてみてください。結城の訳文はのちほどお見せします。

* * *

論文の話。

情報処理学会誌「情報処理」で、ミルカさんのセリフが引用されていました。学生会員の質問に答えるコーナーで、論文の新規性や有用性に関する質問の答えの一部です。感謝しつつご紹介します。

◆「先生,質問です!」Vol.59 No.12(2018年12月号)
https://www.ipsj.or.jp/magazine/sensei-q/5912.html

* * *

「機械学習チートシート」の話。

萩原正人さん(@mhagiwara_ja)が紹介していた「機械学習チートシート」は非常に興味深いです。機械学習に興味がある方はぜひごらんください。

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スタンフォード大学の機械学習コースの要点をまとめた「機械学習チートシート」の出来が素晴らしい https://stanford.edu/~shervine/teaching/cs-229.html 教師あり学習・教師なし学習・深層学習・確率統計・微分積分線形代数などの要点が分かりやすくコンパクトにまとまっているカンペ集。

https://twitter.com/mhagiwara_ja/status/1062815947252211723

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◆CS 229 ― Machine Learning
https://stanford.edu/~shervine/teaching/cs-229.html

要点をまとめている点と、随所に内容をイメージできるイラストがある点がすごいですね。

* * *

「色のシミュレータ」の話。

浅田一憲氏による「色のシミュレータ」というアプリがあります。ひとことでいえば「自分と異なる色覚特性を持つ人にどんなふうに見えているか」を擬似的に体験できるアプリです。

資料やパンフレットを作ったとき、自分としては「色をたくさん使って見やすくした」つもりなのに、実は自分と異なる色覚特性を持つ人(つまり色の見え方が異なる人)にとっては「かえって見にくいものになっていた」という可能性があります。

この「色のシミュレータ」を通すだけで、作った資料やパンフレットが他の人にどのように見えているかを知ることができます。特に「色分けしてわかりやすくしたつもりになっているけど、ほんとにわかりやすくなっているか」を確かめるときに非常に便利です。

たとえば、結城が書いたWeb連載でx軸とy軸を色分けした画像を以下に示します。x軸は赤色で、y軸は青色にしていますが、色覚によっては赤がはっきり区別できないように見えます。結城は意識して太さも変えて、色覚以外でもできるだけ区別しやすくなるようにしています。

◆色のシミュレータの出力画面例(スクリーンショット)

◆色のシミュレータ
https://itunes.apple.com/jp/app/id389310222

◆浅田氏による他のアプリケーション
https://itunes.apple.com/jp/developer/kazunori-asada/id388924061

◆浅田一憲氏
https://asada.website

* * *

ではそんなところで、今回の結城メルマガを始めましょう。

どうぞごゆっくりお読みください。

あっと、その前にさっきのファインマン先生のツイート翻訳を。

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Question authority. No idea is true just because someone says so. Test ideas by the evidence gained from observation and experiment. If a favorite idea fails a well-designed test, it’s wrong!

https://twitter.com/ProfFeynman/status/1062763528401141760

権威を疑え。どんなアイディアも、誰かがそう言ったというだけでは真にならない。アイディアは、観察と実験から得られる証拠によってテストせよ。お気に入りのアイディアであっても、正しく設計されたテストにパスしないなら、それは誤りなんだ!

https://twitter.com/hyuki/status/1062778007453032448

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最初の「Question」は動詞(「疑え」という命令形)です。その他 idea, true, test, wrong といった簡単な単語でも翻訳するのは難しいと感じます。またそれと同時に、簡単な単語でも深い内容を表せるのだとも思います。勉強になりました。

目次

義務教育で数学を学ぶのはなぜか
新しいチャレンジ - 本を書く心がけ
 *これまでの配信
 *読者さんの反応
 *どこまで考えて書いているのか
 *登場人物の声に耳をすます
 *新キャラ登場で作者として考えていること
 *どうやってチャレンジに応えるのか
 *どのように文章に落とし込んでいくか(木曜日まで)
 *どのように文章に落とし込んでいくか(木曜日当日)

義務教育で数学を学ぶのはなぜか

質問

なぜ義務教育で数学を学ぶ必要があるのですか。

回答

たくさん理由はあると思いますが、私の思う理由を二つ書きます。

一つの理由は、数学は、この社会のすみずみまで使われていて、人により深さの差はあるものの、何らかの理解をしておく必要があるからです。利便性や必要性。

現在の人類が持っている最も大きくて確かな知識の一つといえば「科学」ですが、数学はその科学の土台になっています。数学は、科学の知識を表現するための言葉であるともいえます。

もう一つの理由は、数学を理解することでもたらされる喜びは、人により差はあるものの、人生を豊かなものにしてくれるからです。審美的、情操的な理由。

どちらの理由も、日本語や英語を義務教育で学ぶ理由と近いものがありますね。

以上は数学を学ぶ必要性全般についての回答ですが、特に「なぜ義務教育で」という部分についても回答します。それは、若い時代に基本的なことを学んでおくことで、将来の学びの幅が大きく変わるからだと思っています。

簡単ですが、以上です。ご質問ありがとうございました。

新しいチャレンジ - 本を書く心がけ

はじめに

先月配信したVol.347の「本を書く心がけ」のコーナーで「数学ガールに新キャラ登場」を書きました。

結城が毎週金曜日にcakesで連載している「数学ガールの秘密ノート」に新キャラ「ノナちゃん」が出てきた経緯をネタバレなしに書いたものです。

あれから早くも3週間が過ぎ、今週は第245回目の更新になります。10回ごとに一つの「シーズン」ですので折り返し点に来たことになりますね。

新しいチャレンジには読者の反応が気になるところですが、幸いにもTwitterなどの反応はとてもよく、作者としては大きくはげまされています。

Vol.347の「数学ガールに新キャラ登場」を自分でも読み返してみましたが、やはりこういう文章は「あとからまとめて書く」のではなく「ホットなうちに書く」方がいいなと思いました。というのは、自分で書いたにもかかわらず、読み返すと新しい発見があったからです。

そこで今回の「新しいチャレンジ」を行っているときに作者として考えていることや、執筆で具体的にやっていることを書いてみたいと思います。といっても、今シーズンのネタバレにならないように注意して進みます。ですから、あなたがネタバレを嫌がるタイプとしても安心してお読みください。

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本を書いています。『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。https://link.hyuki.net/mm でメルマガ配信中。https://link.hyuki.net/girlnote でcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

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