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五月来ば鳴きも古りなむほととぎす未だしきほどの声を聞かばや

#伊勢 (いせ) #古今和歌集 138 #jtanka #短歌 #夏

五月が来たならば鳴き声も古びて新鮮味を失ってしまうであろう、ほととぎすよ。そのときになってもまだ未熟で整わず初々しさを持つ歌声を聞きたいものですねえ。

「来ば」は「来(こ)+ば」。「来(こ)」は「来(く)」の未然形。「ば」は仮定の接続助詞。「もしも来たならば」の意味。

「古りなむ(ふりなむ)」は「古り+な+む」。「古り(ふり)」はラ行上二段活用「古る」の連用形。「古びる」の意味。活用は〔り・り・る・るる・るれ・りよ〕。「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形。「む」は推量の助動詞「む」の連体形。「古りなむ(ふりなむ)」は「古びてしまうだろう」の意味。

「未だしき(まだしき)」はシク活用の形容詞「未だし」の連体形。「未完成な」や「まだ完成された状態ではない」や「まだ未熟である」の意味。

「聞かばや」は「聞か+ばや」。「聞か」は未然形。「ばや」は終助詞。終助詞の「ばや」は未然形に付き、文末のみに使われて願望や意志を表します。「聞かばや」は「聞きたいものですねえ」の意味。

この歌での「ばや」とは違いますが、接続助詞の「ば」に係助詞の「や」が付いた「ばや」もあります。この場合は仮定条件や確定条件を示して「仮に〜としたらなんだろうか」や「〜だから…なのだろうか」の意味になります。

さつきこば なきもふりなむ ほととぎす まだしきほどの こゑをきかばや
さつきこば なきもふりなん ほととぎす まだしきほどの こえをきかばや


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