一番《こわい》ことを書け(本を書く心がけ)
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年12月6日 Vol.245 より
本を書くには、まず本を書け
結城はときどき「どんなことをやれば本が書けるようになりますか」という質問メールをいただきます。そうですね、ざっくりいって、頻度は月に一回くらいでしょうか。質問メールを送ってくださるのは、結城のプログラミングの本や、数学ガールを読んでいる読者さんが多いです。ありがたいことですね。
「どんなことをやれば本が書けるようになりますか」という真摯な質問に対して、できるだけ誠実に答えようと結城はいつも思います。でも多くの場合それはかなり単純な答えになってしまいます。それは「まず、書いてみましょう」です。まずは、とにかく、つべこべ言わずに本を書いてみましょう! というのがアドバイス。
すでに本を書いている人や、雑誌の記事を書いている人の多くは、結城の「本を書くには、まず本を書け」というアドバイスにおおむね同意してくださると思っています。でも、それ以外の人は「結城さん、何言ってんの?」ということになる可能性もあります。ので、少しパラフレーズしましょう。
「本を書きたい」と思う人は多いのですが、実際に書いてみる人は少ないのです。
本を書いてみたいな、自分も書けたらいいな、書くためにはいろんなことを知る必要があるんだろうな、裏技みたいなのもあるかもな、などと考える人もいるようです。でも、裏技なんてありません。
まだ本を書いたことがない人が、本を書くことを学ぶ第一歩として強くお勧めできるのは、「まず、書いてみる」ことです。ワードでも、エディタでも、手書きでもいいから、何でもいいから、筆記用具を用意してタイトルを書きます。そして、いきなり《がしがし》と書いてみましょう。
誰に見せるわけでもありませんから、字が下手でも、文がおかしくても、かまいません。何にも恥ずかしいことはありません。とにかく《どんどん》書いてみましょう。一日のうち何十分か、あるいは何時間かを費やして、言葉を並べてみましょう。一日で完成しなかったら、何日かを掛けて、ともかく書き進めてみましょう。
そうやって、自分の時間を実際に費やして、自分の指と頭を実際に動かして文章を書いてみると、非常に多くのことを学ぶはずです。何を学ぶかは人によって違いますが、とにかく何かは学べます。自分が書いてみたときに得られた経験が、リアルな第一歩です。幻想や夢想ではない第一歩です。
生まれて初めて推理小説を書いたときにわかったこと
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