過程と成果のどちらを評価?(仕事の心がけ)
仕事を何か実行したときには、実行しっぱなしではなく、何らかの評価をしてフィードバックするのはよいことです。
ところで、仕事を評価するときには、
・仕事の過程
・仕事の成果
のどちらを評価すべきでしょうか。
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「過程」というのは、その仕事をどのように進めたか、どのようなやり方で実行したかを意味しています。過程というのはプロセスと呼んでもいいですね。
それに対して、「成果」というのは、その仕事を実行したことで何を得たか、どんな結果になったか、当初の目的を達したかを意味しています。成果はゴールと言い換えられるでしょうか。
結論からいうと、「過程」を評価すべきか「成果」を評価すべきかは、ケースバイケースであると思います。
人によっては、
いやいや、過程なんかどうでもよくて、
成果を出さなければダメでしょう。
成果がすべてですよ!
と考えるかもしれません。実際の仕事はそんなに単純ではないと思います。もちろん、その逆の「成果なんかどうでもいい」というのも違います。
もしもその仕事が、たった一回限りのことならば、成果がすべての場合もあるでしょう。しかしながら多くの場合《仕事は長期で勝負するもの》です。仕事をし続ける持続性や継続性が大切になります。
持続性や継続性を考えた場合、成果だけを評価していると道を誤ります。毎回いきあたりばったりで、無茶をして、たまたま成果を上げたとしても高く評価できません。成果だけではなく、過程も適切に評価する必要があるのです。
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仕事の評価という言葉には、上司が部下を、会社が社員を評価するイメージがあります。
でも、もう少し広く考えて、自分が自分の活動を評価するときも想像するといいですね。自分の一日が終わったときに、その日の活動を振り返るのです。そのときに、
・(過程)自分は、どんなふうに活動したのか
・(成果)自分は今日、何を成したのか
この二点の両方を確かめるのは健全なことだと思います。
ざっくりと良し悪しを考えるなら、2×2で4通りのパターンがあります。
・いい成果をあげたし、その過程もばっちり。
・いい成果をあげたが、その過程はいまいち。
・成果はあがらなかったが、過程はばっちり。
・成果はあがらなかったし、過程もいまいち。
この4通りのパターンそれぞれに、自分へのフィードバックは変わるでしょう。
成果のみ、あるいは過程のみを評価するのは単純すぎます。成果と過程の両方を評価し、その組み合わせで考えると、フィードバックが豊かになります。それは、自分の中に複数の評価軸を持つことになるからです。
複数の評価軸を持つことは、自分の心の健康にも役立ちます。たとえば、「がんばったけれどできなかった」という日は誰にもありますよね。そのときに「できなかった(成果)」ことだけに目を向けると、「ああ、自分は100%ダメなんだ」と誤解しそうです。
「できなかった(成果)」だけではなく、「がんばった(過程)」もきちんと評価しましょう。そして、その「過程」が「成果」に結びつかなかった理由を考察するのです。
「過程」と「成果」のように複数の評価軸を持ち、分析的に自分の仕事を評価するならば、自分を責めるのではなく、前向きに、建設的に次の一歩を踏み出せるはずです。
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「成果」だけではなく「過程」も評価しましょう。
複数の評価軸で広がりのあるフィードバックを行いましょう。
この考え方は、きっとあなたの役に立つはずです。
以上、「仕事の心がけ」は 過程と成果についてのお話でした。あなたは、自分の仕事を評価するとき、「過程」と「成果」のどちらを評価しがちですか。
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年2月28日 Vol.257 より
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