
箱の中の音(結城浩ミニ文庫)
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ミステリ風味の夫婦の会話。
「ブルーベリー、買うの忘れてたから冷凍ので」と妻が言った。
白いテーブルで私と妻は向かい合い、朝食代わりのアサイーボウルを食べていた。シェイクしたアサイーフルーツをベースに、切ったバナナとグラノーラが入っていて、さくらんぼとフローズン・ブルーベリーがトッピングになっている。冷たくてほんのり甘い。
「彩りもいいね」と私はさくらんぼをつまんで言った。
ここ数日雨が続いていたけれど、今日は久しぶりに晴れた朝となった。大きく開いた窓から初夏を思わせる風が入ってくる。
「あ、お湯沸いた」
彼女はキッチンに戻ってコンロを止め、コーヒーをいれる。
私は、彼女がケトルをゆっくり回してペーパーにお湯を注ぐのを眺める。やがて、妻が二人分のコーヒーを持ってきた。
「さよちゃんの話なんだけど」
(続きは以下のPDFをごらんください)
箱の中の音
PDF/A5版/8ページ/DRMなし
2014年06月24日
結城浩ミニ文庫mini-002
http://www.hyuki.com/mini/
※結城メルマガVol.117で配信されたものです。
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本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。