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がんばって教えても分かってもらえない(Q&A)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。

こんにちは、結城浩です。

「Q&A」のコーナーでは、読者さんからのご質問にお答えします。

読者さんからいただいた質問の文面は、結城が編集する場合があります。また複数人からの質問を一つにまとめる場合もあります。ご了承ください。

●質問

こんにちは、結城さん。メールマガジンの発行おめでとうございます。さっそく登録しました。質問も受け付けるということなので、送ります!

私はIT関係の会社で新人の指導をしています。専門にやっているわけではなく、毎年春になって新人が入ったときに業務の基本を教えているのです。でも、あまりうまくありません。というか、新人さんから私が受ける評価にばらつきが大きいです。

数名の新人さんには、すごく受けがいいのですが、他の新人さんからは「すごくわかりにくい」という評価を受けます。私はがんばって教えているのですが、がんばるほど新人さんの顔が「わからない!」という顔つきになるので何だか暗い気分になります。

こういうのはどうしたらいいんでしょうか??
今年も春が来るのがチョッピリ恐いです。

●回答

ご質問ありがとうございます。質問来なかったらどうしようかと思ってましたので、助かりました!(^_^)

 ・新人さんの指導をしている
 ・新人さんからの評価にばらつきが大きい
 ・がんばって教えているけれど、すごく受けがいい新人さんと、すごくわかりにくいと評価する新人さんがいる

ということですね。新人さんの指導をするのは大事なお仕事だと思います。

いただいたメールだけでズバリあなたの悩みに答えます、というわけにはいかないのですが、あなたのメールを読んでいて気がついたポイントがいくつかあるので、それをお話しさせてください。

まず、あなたのメールに書かれていますが、あなたは生徒である新人さんの「顔が見えている」のですよね。これはすばらしいことだと思います。

教える立場にある人の中には、生徒の様子を見ない人がたくさんいます。自分勝手に一方的に話して終わり!にしちゃうんですね。でも、あなたは違うようです。新人さんの表情から「わからない」というシグナルをきちんとキャッチしているのですね。

わからないというシグナルをキャッチした後がポイントです。「あ、みんな、わかってないようだな」と感じたときに、教える立場の人はどうするべきか。

「相手がわかっていないのだから、なおいっそうがんばって教える」というのは実は少し危険です。「がんばって」教えようとすると、

 ・早口になり、
 ・声がカン高いトーンになり、
 ・新たな補足説明を始めてしまい、
 ・多くの情報を相手の頭に押し込みたくなる

という危険があるのです。これでは逆効果、かえってわかりにくくなってしまいます。

そうではなくて、むしろ、「相手がわかってないときこそ、教える方はがんばらない」のを心がけた方がいいでしょう。がんばらずに、

 ・一つ一つの言葉をゆっくりと話し、
 ・いままで説明した内容をもう一度ていねいに繰り返し、
 ・相手が混乱している部分、つまづいている部分に対処する

のがよいと思います。

相手の疑問に答えるためには、どうしても補足説明が必要になるという場面もあるでしょう。そのときは状況に応じて仕切り直すことも大切です。「それはいい質問ですが、いま説明するのは難しいので後で説明します」のように進むのです。

教える立場の人がちょっと小休止を入れて、生徒の立場の人に対して、「どこか、わからないところはありますか?」と聞くのもいいですね。

そういうときの、ちょっとしたコツを一つ。

 「どこか、わからないところはありますか?」

と聞く代わりに、

 「どこか、引っかかるところはありますか?

のように聞くのもうまいやり方です。

私の高校の先生が「何か、引っかかるかな?」という聞き方をしていました。

「わからない」のを認めることに抵抗がある人もいますので、「引っかかるところ」「気になるところ」「変なところ」といった別の表現で、相手が発言しやすくするのです。

あなたのメールから気付いたことをお話しました。見当はずれの答えになっていなければいいのですが。

そういえば、春ですね!

はつらつ新入生、新入社員がたくさん生まれる季節です。

あなたがなさっている新人さんの指導というものは、とても大切なお仕事だと思います。どうぞがんばって(でも、ときにはがんばらないようにして)くださいね。

応援していますね!(^^)

●質問をお待ちしています

教えること、話すこと、文章を書くこと、本を書くこと…どんなことでもご質問ください。

シチュエーションを具体的に書いていただければ、それだけ深くお話しできますけれど、思っていることをふわふわっと書いてくださってもいいですよ。

(Photo by Peter Lorenz. https://www.flickr.com/photos/lorenzworks/7764840610/)

このノートは「結城メルマガ」Vol.001の内容を編集したものです。
http://www.hyuki.com/mm/

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