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「学ぶための勉強」と「教えるための勉強」(教えるときの心がけ)

質問

学ぶための勉強」と「教えるための勉強」は違うものでしょうか。

結城浩のメールマガジン 2020年2月4日 Vol.410 より

回答

違いますね。

学ぶ人は極論をいえば「学べばいい」ことになります。でも、教える人は「学んだ上にそれを生徒に伝えなくてはいけない」わけですから。そこには違いがあると思います。

たとえていうなら「山に登ること」と「人を山に連れていくこと」の違いにも似ているでしょう。人を山に連れていく人(先生)は、自分が山に登って降りてくればいいわけではありません。連れていく人(生徒)が迷子になったり崖から落ちたりしないように注意し、もしもこっちの道から行けないとなったら別ルートを提示できたりしなくてはいけませんよね。

先生は生徒の状態を見極めて、それに合わせて適切な情報提示をする必要があります。自分が学んだ道筋でしか伝えられないとしたら、生徒がそこで困難を覚えたときに対処できなくなります。教えるためには《生徒のことを考える》必要があるのです。

「学ぶための勉強」と「教えるための勉強」とはまったく違うものではありません。「学ぶための勉強」は、教えるためにする必要があるけれど、それだけで十分じゃないということでしょう。他人に教える学びは自分の学びを包含しているスーパーセットなのですね。

ご質問ありがとうございました。


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