完全数について12歳の長男と話す(思い出の日記)
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。
私「完全数って知ってる?」
長男「知ってる。約数を全部足すとその数になる数」
私「そうだね。厳密にいえば違うけど」
長男「どゆこと?」
私「約数全部足すんだけれど、その数自身は除かなくちゃ」
長男「あ、そりゃそうだ」
私「完全数の例を知ってる?」
長男「んー、二つしか覚えていない。6と28かな」
私「そうそう。1 + 2 + 3 = 6だし、1 + 2 + 4 + 7 + 14 = 28だしね。6と28のほかに496や8128も完全数だよ」
長男「へー」
私「ところで、奇数の完全数は存在するかな」
長男「ん?………………わからん」
私「はい。そうだね。奇数の完全数が存在するかどうか、人類はまだ知らない」
長男「ふーん」
私「でも、少し考えると、奇数の完全数が難しそうな理由はちょっとわかる」
長男「どゆこと?」
私「奇数ということは、2を約数に持たないよね。ということは2とペアになった約数、つまり元の数の半分も約数じゃない」
長男「そうだね」
私「完全数になるためには、約数を1から順に加えていってその数自身までたどり着かなきゃいけないんだけれど、「元の数の半分」という比較的大きな数を利用できないことになる。つまり、小さな約数をたくさんもってなければいけない。これはちょっとつらい。…っていうのはぜんぜん証明じゃないんだけれど、直観的な観測だ」
長男「はあはあ」
私「完全数かどうか調べるときに《その数の約数の和(ただしその数自身は除く)》を考えたよね」
長男「うん」
私「ではね、その数自身も含めて考える。《その数の、すべての約数の和(その数自身も含む)》を考えよう」
長男「はい?」
私「正の整数nに対して《nのすべての約数の和》をs(n)と表現することにしよう」
長男「ええと、はいはい」
私「たとえば、s(10)っていうのは、約数を全部足してs(10) = 1 + 2 + 5 + 10 = 18になる」
長男「まあそうだね」
私「そうすると、完全数っていうのは《s(n) = 2×nになる正の整数n》のことだと言える」
長男「ふんふん」
私「それではここで問題です。《s(n) = n + 1になる正の整数n》のことを、あなたはなんと呼ぶ?」
長男「え? え? どゆこと? ――あ、ああ、わかった!」
私「そう、あなたが気付いた、それで正解。ちゃんと1が除かれるのが美しいよね」
* * *
問題
nを正の整数とし、s(n)を《nのすべての約数の和》とする。
このとき、《s(n) = n + 1になるn》のことを何と呼ぶか?
* * *
※2006年6月25日の「結城浩の日記」から。
http://www.hyuki.com/d/
※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/4185326903/
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