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いっしょに歩いていきましょうね(思い出の日記)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。

もうずいぶんと昔の話になる。

私のお姉ちゃん(そう、スレッド本の謝辞に登場したお姉ちゃん)がはじめての子供を産んでしばらく経った頃のこと(もう20年近く前かな)。実家から車で一時間くらいのところにある、お姉ちゃんの嫁ぎ先に出かけていき、赤ちゃんをだっこした。こちらの声が聞こえていたかどうかしらないけれど、声をかけたり、あやしたりした。

で、帰りの車の中で私は思った。

そのときは、私の母が車を運転していたと思う。

人は――人は自分の人生を生きる。

そして子供が生まれると、自分の人生を生きながら、子供の人生を生きる。
…まあ、併走するとでもいうのだろうか。

さらに孫が生まれると、自分の人生を生きながら、「自分の人生を生きながら、子供の人生を生きている」子供の人生を生きる。
…そのような入れ子構造、コンポジットパターン的なものを感じていたことを思い出す。

そんなことを、ふと、いまでも思い出す。

話変わって、IT業界。この業界はいつも20代・30代が中心に動いている。その中でいつのまにか私は40代になってしまった(なってしまった、などと書いているけれど、ぜんぜん悲観はしていないのですけれどね)。

私は最近、自分より若い人にどのようなメッセージを伝えるか、などという(偉そうな)ことも考えるようになった。といっても、別に自分の時代は終わった的なことはまったく感じておらず、40代になってから、ますます(30代になったときに感じた以上に)自由な毎日を楽しんでいるんですが :-P

で。

ときおり、なぜか、あの――赤ちゃんをあやしたときのことを思い出すんです。

人生は単純じゃない。もっと重層的。もっと多層的。個人としての時空間だけではなく、自分の親や、さらにその親の時空間と、あるいは逆に自分の子供や孫の時空間と複雑に絡みながら進んでいる。

それは――単純でありながら同時に複雑ななにか。退屈なまでに平凡でありながら、あるべき姿をとっている特異ななにか。ありふれて、どこにでもあるような、けれどもかけがえのない宝石のようななにか。

神さまが私たちに与えてくださっている時間というものは、そんな不思議な豊かさを兼ね備えていると思うのです。

(ここまで読んできておわかりのように、私は説明しようとはしていません。私は感じていることをただ、そのまま、ここに書き留めようとしているだけです)

私も、キリストを知る前には悩んだり、この世をはかなんだり、自分が生きることのむなしさを覚えたりしました。でも、40代になったいま、20代以前の苦しさを思い返すと――それは当時の自分へ送りたいメッセージであるとともに、いま厳しいIT業界を生きている若い人へのメッセージでもあるのですが――「いま」や「現在の苦しさ」や「人生」や「毎日」というものは、時間が経ってみると、また違った意味合いを持つ、といいたいのです。

いま――まさにいま、現実の問題で苦しんでいる人はたくさんいらっしゃると思います。仕事のことや学業のこと、人間関係のこと、自分の進路のこと、経済的なこと、もっと漠然とした不安などなど……。まさに人生に悩み尽きずという方もたくさんいらっしゃると思います。

問題の大きさというものは第三者にはなかなかわからないものですから、私が勝手にどうこう言うわけにはいきません。でも、ほんの少しだけ人生を長く生きてきた実感として、「現在のあなたの姿がほんとうのあなたの姿ではないかもしれないよ」あるいはまた「いまの苦しみは、もしかするとあなたにとってなにか重要な意味をもつかもしれないよ」ということも思うのです。

ときには苦しみ、ときには解き、ときにはあやうくやり過ごす。人生はジグザグで、一筋縄ではいきません。

「私」は「あなた」を知らないけれど、でも、応援しています。あなたのことを。私は喜んで神さまのためにあなたのことを祈りましょう。

私はあなたのことをよく知らない。けれど、神さまはあなたのことをよく知っています。そして、私はそのような神さまに依り頼んで毎日を生きています。

私は、あなたを応援しています。

いま、くすしき巡り合わせによって、同じ時代・同じ国に存在している仲間として。私はあなたを応援しています。

今日も・明日も、いっしょに歩いていきましょうね!

 * * *

※2006年7月13日の「結城浩の日記」から。
http://www.hyuki.com/d/

※あなたのために、祈ります。
http://www.hyuki.com/pray/

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/4185326903/

※以降に文章はありません。「投げ銭」での応援を歓迎します。

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