心の健康を守りつつ書いて! お願いだから。(文章を書く心がけ)
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.073より)
「心の健康」の話。
文章を書くというのは楽しい仕事です。
でも、文章を書く仕事は「無から有を産む仕事」でもあるので、メンタルな部分のケアは重要です。
具体的にどういうことかというと「非常に疲れているのに文章を書かなければいけない状況」をできるだけ避けるということです。
非常に疲れているとき。
睡眠が足りていないとき。
あるいはまた人生の重大事を心に抱えているとき。
……そのようなときに文章を書くのは、かなりの心の負担になります。
自分の状態をよく見極めて、文章を書くときに休息を十分に入れるとか、睡眠が足りなかったら仮眠を取るとか、思い切って休みをとるとか……そのような対処が必要です。
非常に疲れているときには「自分が危機的な状態か」という判断そのものが鈍るのでたいへん危険です。熱中症の対処と同じで、早め早めの対処が大切です。
* * *
結城は昔「プログラマの心の健康」という文章を公開しました。
これは1996年に公開した文書ですけれど(1996年ですよ!)、現代でもかなり有効な文書のように思います。
文章を書く仕事も、プログラムを書く仕事もよく似ています。ある意味で「無から有」を生じさせる仕事であることも、また「言葉を扱う」という仕事であることも。いずれにしろ、心が疲れていたり弱っていたりするとてきめんに仕事に影響を与えます。
メンタルな部分がゆさぶられていると、ふだん書けるコードも書けなくなるし、短い文章でも書けなくなる。それは驚くほどです。現在の結城は、納期に間に合わせるために徹夜してコード書くことはやっていませんし、文章の〆切の場合でも、できるだけ早めに準備を進めるようにしています。
でも、現在の若いプログラマさんの中には、勢いにまかせて徹夜に次ぐ徹夜で仕事をする人もいらっしゃるのではないかなと思います。そういう過酷な職場のプログラマの方、特に「まじめなプログラマの方」は本当に「心の健康」を大事にしてほしいと思います。
偉い人から「これが動かないと我が社は」と脅されても、逃げていいんだよ! あなたの健康の方が何百万倍も大事だからね! と声を大にして言いたい。
結城も若い時代に経験がありますが、何日も徹夜に近い状態が続いて家にも帰らずバグ取りしている状況だと、正常な判断力は失われています。そのときには友達や彼女や奥さんや親戚のアドバイスの方が正常だったりするのです。
ほんとうに気をつけてほしいと思います。
* * *
心の健康が崩れかかっているとき、いろんな意味での「休息」がほんとうに大切です。結城が会社勤めしていた時代、毎日毎日プログラミングとデバッグで忙殺されていたとき、ときおり「これはヤバイ」というタイミングでは、仕事をさぼって休息を取っていました。
いまにして思えば「よくぞ、さぼった!」と自分をほめてあげたい。ちょっと変な話ですけれどね。
振り返ってみると「あのときに、もう一日無理していたら、心が壊れていた」という状況だってありました。
繰り返しになりますが、まじめな人、細かいところまで自分でちゃんとやりたがる人は特に、大胆にさぼり、大胆に休んでほしいと思います。
仕事も人生も長丁場ですからね!
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※Photo by Walt Stoneburner.
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