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小学一年生の子供に算数・数学を教えたい(教えるときの心がけ)

質問

(この質問は複数人の方からいただいたものを再編集しています)

こんにちは。

小学一年生の子供が算数に興味を持っているようです。

この気持ちを大事にしたまま、もっと高度な算数や数学を教えたいのですが、どのようにしたらいいと思いますか。

結城さんは子供のころ、どんなことで数学に興味を持ちましたか。

結城浩のメールマガジン 2018年7月17日 Vol.329 より

回答

ご質問ありがとうございます。

小学一年生で算数に興味を持つというのはいいですね!

いまは、書店に行くと算数や数学の事典や図鑑がいろいろありますので、教材という点では困らないと思います。どれがいいかというのは一概にいえないので、保護者さんが見てご判断なさるのがいいと思います。

あなたのご質問では「教える」という表現を使いましたが、算数や数学の知識を「教える」というよりは、算数や数学的なものを使って「親と子がいっしょに楽しむ」という態度も大切だと思いますよ。

ある方は、「料理をするときに材料を量る作業を子供にお願いする」という話をしていました。それを聞いて結城は「まさにそれ!」と思いました。

結城は、小学生くらいのとき、方眼紙のきれいなノートにいろんなことを書くのが好きでした。自分の大事なノートに○をひたすら並べたり数えたり、並び方のパターンを作って楽しみました。

数学オモチャというかパズルのようなものも楽しいですね。15パズル、ルービックキューブ、おはじき、オセロ、そのようなもので日がな一日遊んでいました。

私の父親は理科教師でしたから、家にはいろんな電子工作機器、タイプライター、コンピュータなどがありました。親がやっていることには興味があるもので、それらの機器を使って、父親といろんなことをやりました。親が算数や数学を楽しんでいる姿を見せるのは大事だと思います。

お風呂のタイルを数えたり、工作用紙を切っていろんな形を作ったり、立体を組み立てたり、オモチャのサイコロや、キューブ状のブロックなどを重ねて数えたりして楽しむのもいいですね。子供の興味に合わせて算数や数学を教えるのも悪くはないですが、実例をたくさん見て実際のものに触れるのもいいですよ。

ちょっと考えると算数や数学とは関係がないように見える活動が大事なこともあります。たとえば「想像すること」。言葉で書かれた本を読んで「情景を想像する」ことや「想像の中でものを動かしたり、形にしたり、視点を変えたり」というのも楽しい活動です。工作で何かを組み立てるとき、組み立てる前に「どうなると思う?」のようなクイズもいいですね。

そういった活動を通して知識を学ぶかどうかも大事ですけれど、まずは「ここには親もおもしろがっているような、何かおもしろいものがあるぞ」と感じてもらうことは大事だと思います。それから子供が何かを「はっけん」したときに、それを安易に「それはこういうことだよ」と先回りして答えを出さないことも大事ですね。親が答えをぜんぶ握っていると思ったらつまらないからです。

そのあたりの「間合い」は、親と子の関係や子供の性格や能力にも関わってきますので、親御さんの観察力が問われるところになります。「うちの子はわかっているのだろうか。楽しんでいるだろうか。何に関心があるだろうか」を観察するのです。

「子供に教える」という活動を狭く考えず、「子供といっしょの活動を楽しむ」という観点で考えてみてくださいね。

ご質問ありがとうございました。

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