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かたみこそ今はあだなれこれなくは忘るる時もあらましものを(読人しらず)

#読人しらず #古今和歌集 746 #jtanka #短歌 #恋

この思い出の品なんて、いまとなっては何の意味も無いもの、むしろ恨みの種ともいえるものです。この品がなければあの人のことを忘れる時もあるでしょうに。

「かたみ」は「思い出の品」。ここでは「遺品」ではなく「昔を思い出させる思い出の品」の意味。

「あだ」は「徒(あだ)」(実質がないもの、無駄なもの、はかないもの)と「仇(あた)」(恨みの種)の両方をかけている。

「こそ〜なれ」は係り結び。「なれ」は已然形。

「あらましものを」は「であろうものを」の意味。「まし」は推量の助動詞で反実仮想を表す。ここでは「実際には思い出の品があるけれど、もしもなかったならば……」と現実とは異なる状況を仮定している。

かたみこそ いまはあだなれ これなくは わするるときも あらましものを

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