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再読に耐える本を書く(本を書く心がけ)

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年10月18日 Vol.238 より

再読に耐える本を書きたい。

一回読んで終わりの本ではなく、何度も読めるし、何度も読みたくなるし、何度読んでも新しい発見がある本。

結城はそんな本を書きたいと思っています。

 * * *

「数学ガール」シリーズでも、微力ながらその試みをたくさんしています。

「繰り返しに耐える」という要素を強く意識したのは、二巻目の『数学ガール/フェルマーの最終定理』からですね。フェルマー巻を書くときには「イメージの呼応」と「隠し伏線と隠し伏線回収」に凝っていました。いまとなってはわたし自身も忘れている部分もあり、真の隠し伏線になったものもたくさんありますね。美味しいクルミを地面に埋めたはいいけれど、どこに埋めたか忘れてしまったあわてもののリスのようです。

結城は「数学ガール」シリーズを書くときに、「数学の知識に応じた魅力」を読者に感じてもらいたいと思っています。数学のことをよく知らない人でもそれなりに、また数学のことをよく知っている人でもその度合いに応じて楽しめる。そんな作品を書きたいと願っています。

さらに、読者には「満足だ、もう十分」と思ってもらうのではなく、「今回は満足したが、すべてのおもしろさを汲み尽くしたとは思えない。いつかまた、読みたい」と思ってほしいのです。なかなかよくばりな願いですね。

では。

では、そのような、読者が「再読」を願う本はどうやったら書けるのか

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