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「おみせやさん」の思い出(日々の日記)

辞書編纂者の飯間浩明さん(@IIMA_Hiroaki)が、こんなツイートをしていました。

「新年明けましておめでとう」はおかしい、新年が明けたら来年になってしまうではないかという意見があります。でも問題ない。「毛糸を編む」でなく「セーターを編む」、「水が沸く」でなく「湯が沸く」という言い方があります。結果を主語に持ってくる語法が日本語にはあるのですね。
https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/815710021665234944

なるほど。

このツイートで結城は、幼稚園のころの疑問を思い出しました。

幼稚園のとき「おみせやさんごっこ」という遊びがありました。同じクラスの園児が紙で「お金」を作り、折り紙や毛糸などを材料にして「商品」を作るのです。ある子は果物屋さんになり、別の子はお花屋さんになるという具合です。

何日か掛けて「お金」や「商品」を準備しておいて、準備が出来たところで「おみせやさんごっこ」を開きます。園児同士が売ったり買ったりのまねごとをして楽しむのです。

園児時代の結城も「おみせやさんごっこ」を楽しみにしていたのですが、ふと気がつきました。

 「果物屋さん」は「果物」を売る。
 「お花屋さん」は「お花」を売る。

だとしたら、

 「おみせやさん」は「おみせ」を売るのか?

そんな疑問を抱いたのです。「○○屋さん」という呼称には一貫性がないと思ったということです。

さらに「世の中には『おみせ』を売る商売もあっていいはずだ」と考えたことも覚えています。幼稚園児のときに考えていたことと、現在考えていることは、あまり違いがありませんね……

ところで後日談。

幼稚園で実施される「おみせやさんごっこ」の当日。身体が弱かった結城は風邪を引いて幼稚園をお休みしてしまいました。せっかく楽しみにしていたのに……。家の布団で横になって、

 ああ、いまごろ、みんな、『おみせやさんごっこ』してるんだ……いいなあ……

と、悲しい気持ちになりました。涙がこぼれそう。

二日ほど過ぎて風邪が治った後、祖母が、私一人のために「おみせやさんごっこ」をしてくれました。

結城が畳の上に折り紙で作った商品を並べ、祖母が紙で作ったお金を持って「浩ちゃん、これくださいな」と買い物に来るのです。

楽しみにしていた「おみせやさんごっこ」に参加できずにいた私。

そんな私をなぐさめるために、たった二人だけの「おみせやさんごっこ」を開催してくれた祖母。

そんな、やさしいおばあちゃんのことを、いまでもなつかしく思い出します。

別の意味で、涙がこぼれそうになりながら。

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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年1月10日 Vol.250 より

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