見出し画像

良き人の物語するは(徒然草 第五十六段より)

兼好法師作 結城浩訳

品がある人が話をするときには、その場にたくさんの人がいても、たった一人に向かって話します。それなのに自然と他の人まで引き込まれて聞いてしまいます。

ところが品のない人が話をするときには、誰かに向けてではなく、皆に対してでしゃばり、自分が見てきたかのように話します。なので皆同じように爆笑し、大騒ぎになってしまいます。こういうのはたいへん騒々しいものです。

 * * *

よきひとのものがたりするは ひとあまたあれど ひとりにむきていふを おのづからひともきくにこそあれ。

よからぬひとは たれともなく あまたのなかにうちいでて みることのやうにかたりなせば みなおなじくわらひののしる いとらうがはし。

いいなと思ったら応援しよう!

結城浩 / Hiroshi Yuki
あなたからいただいたチップは、本やコンピュータを買い、多様なWebサービスに触れ、結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださることも大きな支援になりますので、よろしくお願いします。 https://amzn.to/2GRquOl