良き人の物語するは(徒然草 第五十六段より)
兼好法師作 結城浩訳
品がある人が話をするときには、たくさんの人がその場にいても、たった一人に向かって話します。それなのに自然と他の人まで引き込まれて聞いてしまいます。
ところが品のない人が話をするときには、誰かに向けてではなく、皆に対してでしゃばり、自分が見てきたかのように話します。なので皆同じように爆笑し、大騒ぎになってしまいます。こういうのはたいへん騒々しいものです。
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よきひとのものがたりするは ひとあまたあれど ひとりにむきていふを おのづからひともきくにこそあれ。
よからぬひとは たれともなく あまたのなかにうちいでて みることのやうにかたりなせば みなおなじくわらひののしる いとらうがはし。
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