
新しい本の企画を考える(結城浩ミニ文庫)
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本の企画を考える夫婦の対話。
日曜日の礼拝が終わって、私は妻とカフェに入った。最近ずっと帰りが遅かったので夫婦でゆっくり過ごす時間が少なかったからだ。まだお茶には早い時間だったせいか、店内はゆったりしていた。
夫婦でゆっくり過ごす時間と言いながらも、私の鞄の中にはいま読んでいる第四章の原稿プリントが入っている。思わぬ空き時間があったら読もうと持参してきたものだ。でも、席に着くなり原稿を取り出すわけにもいかず、しばらく妻と会話を続ける。
「最近、松浦さんの本を読んでないなあ」と妻が言った。
「松浦さん」というのは『暮しの手帖』の編集長をしている松浦弥太郎氏で、妻はこの人の本が好きなのだ。家にはエッセイ集が何冊かある。妻によると、この人の本は健康な感じがするという。読んでいると、きちんと生活したくなるのだと。
「松浦さんの本に書いてあったんだけど、七十歳で完成を目指すんだって」と妻が言う。
「完成って?」
「人間的な完成」
「へえ」
「四十歳まではまわりの人たちから《受け取る人生》を送る。でも四十歳からはまわりの人たちに《与える人生》を送るって」
(続きは以下のPDFをごらんください)
新しい本の企画を考える
PDF/A5版/8ページ/DRMなし
2014年7月15日
結城浩ミニ文庫mini-003
http://www.hyuki.com/mini/
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本を書く生活がもうすぐ30年目。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『暗号技術入門』『数学文章作法』など50冊以上。活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。