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高校時代、結城さんは専門的な勉強をどのくらいしてましたか?(学ぶときの心がけ)

質問

僕は高校1年生です。結城さんに質問があります。

僕は将来数学科に進んで、生涯数学を学び続けていきたいと考えています。

そこで質問なんですけど、結城さんは高校時代に専門的なことは始めていましたか。

また、数学以外の科目の勉強はどれくらいしていましたか。

結城浩のメールマガジン 2019年5月7日 Vol.371 より

回答

ご質問ありがとうございます。

まずお伝えしたいのは、結城は数学科ではないということ。私の高校時代は数学は好きで成績も悪くなかったですけど、スーパーなことはなにもなかったです。専門書も読んでいませんでした。

高木貞治先生の『解析概論』は持っていましたし、ほんの少し読んではみましたが、中身の理解はさっぱりだった記憶があります。高校時代は指数関数の定義もあやふやだったですね。高校の授業で学ぶ数学の範囲であれこれ勉強してはいましたけれど、もっと広く数学の本を読んで、数学に触れる機会を持てばよかったかもしれないと思います。

高校時代の結城は、たぶん『数学ガール』に出てくる「僕」ほどの知識もなかったはずです。私の高校時代に『数学ガール』があったらよかったのに、などとタイムパラドックスになりそうなことも少し思います。

東京出版の「大学への数学」や、日本評論社の「数学セミナー」のような雑誌の存在は知っていました。でもたとえば「大学への数学」の「学力コンテスト」いわゆる「学コン」の問題はさっぱり解けませんでしたね。

しかしながら、「自分には数学の才能がない」や「自分は数学には向かない」といった方向に考えたことはありませんでした。難しい数学の問題が解けないときに「うーむ、解けない」とは思いましたし、成績がよくない試験があっても「うーむ、まずい」とは思いました。でも「だから自分はだめだ」とは考えませんでした。

高校での成績はまずまず良かったです。素直に学ぶ優等生といってもいいです。数学以外の勉強もまんべんなくやりました。たぶん、勉強をすること自体が好きだったのでしょうね。歴史や地理は苦手でしたけれど。

試験で一番点が取れなかったのは現代国語でした。そんな私が『数学文章作法』という本を出して、現在は文章を書いて生活しているという。人生、向き不向きを安易に判断しちゃいけませんよね。

高校時代は、いまと同じで規則的に淡々と勉強してました。試験前に徹夜で勉強するといった経験はありません。遅くても12時くらいには寝ていました。ジャンルを問わず、本はたくさん読みました。

結城が「数学ガール」シリーズのような数学読み物を書き始めたのはほんとにちょっとしたきっかけです。『数学ガールの誕生』に詳しく書きましたのでそちらをお読みください。

◆『数学ガールの誕生』

結城は、現在でもそれほど専門的な数学ができるわけではありません。でも「自分には数学が向かない」と思うことはありません。しっかり時間を掛けて考え、わかったふりをしないなら、自分の現状に見合った理解ができるというのは数学の大きな魅力の一つです。簡単にいえば「ちゃんと学ぶ価値がある」ということ。

あなたは数学科に進み、ずっと数学とお付き合いしていきたいのですね。よき学びがありますように!

ご質問ありがとうございました。



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