じっくり考えるコツ(学ぶときの心がけ)
質問
「頭のメモリ空間を広げて、じっくり可能性を考える行為」が苦手です。
簡単なテストなどで「反射的に正解のようなものを返す能力」は人より備わっているみたいですが、それに甘えて深く考える能力を培ってこなかったんだと思っています。
じっくり考える能力、鍛えるために心がけていることなどありますか。
結城浩のメールマガジン 2019年5月21日 Vol.373 より
回答
ご質問ありがとうございます。
特に「じっくり考えるために心がけていること」はありませんが、私のやっている仕事の場合は「パッと見たところ、すぐにわかりそうだけれど、ちゃんとやってみたら意外に難しい」という場面がよくあります。
ですから、「当たり前に思えること」や「自分はもうわかっていると思うこと」であっても、ちゃんと確かめるように心がけています。
とはいっても、それは「じっくり考える能力を鍛えるため」にやっているのではありません。仕事上どうしても必要だから、じっくり考えているのです。
あなたは「じっくり考えるのが苦手」とのことですが、まず手始めに、「自分はどうしてじっくり考えるのが苦手なのだろう」ということを、じっくり考えてみませんか。
あなたは質問文の中で、反射的に正解のようなものを返す能力に甘えて、深く考える能力を培ってこなかった……と原因らしきものを書いてくださいました。でもこれは、あなたが反射的に考えただけのことかもしれませんよ。
「自分は、どうしてじっくり考えられないのだろうか」
「自分がじっくり考えようとするのを妨げているのは何だろうか」
「そもそも、じっくり考えるというのはどういうことだろうか」
あなたはいま「じっくり考える」ことに強い関心がありますよね。そういうときこそ、じっくり考えるチャンスです。さまざまな角度から見たり、理由を深く掘り下げたりして、「じっくり考える」ということをじっくり考えてみませんか。
あなたの質問を読んでふと引っかかったのは、苦手なことを「頭のメモリ空間を広げる」とあなたが表現した点です。多くの可能性を考えたり、広い範囲で考えるのではなく、手近な答えに飛びつく印象を受けました。それは空間的な狭さや余裕のなさをイメージしますが、同時に時間的な制約も関連しそうだと感じました。
もしかしたらあなたはとても忙しい(時間がない)ということはありませんか。じっくり考えるためには、ある程度の時間はどうしても必要です。変な表現ですが、わざと時間を掛けて思考を遅くする場合もあります。時間の確保についても意識しましょう。
最後に、あなたがじっくり考える際に手助けとなる質問をプレゼントしましょう。それは「本当にそうだろうか」という質問です。正解のようなものを思いついたときには「本当にそうだろうか」と唱えてみてください。そうすると、じっくり考え始められますよ。ぜひ、お試しください。
ご質問ありがとうございました。
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