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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2020年4月7日 Vol.419
目次
・状況のコントロールと安心感
・子供のころ読んでいた数学の本の思い出 - 学ぶときの心がけ
・まわりと衝突ばかりしている友人 - コミュニケーションのヒント
・数学の試験で《対話》を使うことの難しさ - 教えるときの心がけ
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』の初校ゲラが到着しました。
いつもなら、来週くらいに「読み合わせ」つまり編集長と結城が一室に籠もって一ページずつチェックする作業を行います。でも、最近の社会情勢を踏まえて「読み合わせ」はやめることにしました。
その代わり、ファイルのやりとり、メール、そして電話など複数の手段を使って情報交換につとめようと考えています。これまでの方法に固執せず、柔軟に対処していきましょう!
また、初校ゲラをベースとした「Web立ち読み版」が到着しました。初校ゲラをベースにしているので今後修正が入る可能性がありますが、第1章がまるごと読めます。よろしければお読みください。
◆『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』Web立ち読み版
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50%ポイント還元セールの話。
SBクリエイティブ社から刊行されている結城浩のKindle本が「50%ポイント還元」の対象になっています。
対象となっているのは「数学ガール」シリーズだけではありません。『Java言語で学ぶデザインパターン入門』、『プログラマの数学』、『暗号技術入門』、『C言語プログラミングレッスン』なども対象になっています。
ぜひこの機会をご利用ください。キャンペーンは2020年4月9日(木)まで。
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シュレッダーを掛けながら思った話。
先日、不要になった書類をシュレッダーで裁断していました。保管期限を越えた会計書類などです。ひとつひとつには個人的な歴史があり、なかなか思い出深いものがありました。
わが家の経済は、読者さんが私の本を買ってくださったり、私のメールマガジンを購読してくださったりすることで支えられています。しみじみと感謝に浸っていました。
そこからまた連想は広がり、自分が書いている本の変化や、電子書籍の占める割合の変化などについても考えました。以前はプログラミング書籍がすべての収入でしたが、ここ十年ほどで収入は多様になりました。
プログラミング書籍の重版もありますが、暗号本や、プログラマの数学や、もちろん数学ガールシリーズがあります。紙の本だけではなく、メルマガやWeb連載やnoteなどの電子的なコンテンツもあります。
結城の活動は「執筆活動」という大きな「くくり」では継続していますが、その中身はずいぶん変化しています。
よく《継続は力なり》といいますが、その《継続》の中身はよく考える必要があるとも思いました。
《継続は力なり》がいいスローガンだとしても、仮に変化を全く許容せずに同じことを継続していたならば、時代が変化していけば継続は難しくなるでしょう。《継続》するためにこそ《変化》が必要になるわけですね。
要するに、当たり前のことですが「変えるべきものは何で、変えてはいけないものは何か」という見極めが大事になるのでしょう。
《継続》と《固執》とは違います。継続に固執していては継続できません。かといって、変化に固執しても継続できません。
時代は変わる。自分も変わる。その中で、どのような形で仕事を継続していくか。何を変え、何を変えないか。それを考えるのはとても大切なことじゃないだろうか。
シュレッダーで書類を裁断しながら、そんなことを考えていました。
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自宅で作業する話。
気がつくと、ここ一カ月ほどはずっと自宅で作業していることに気付きました。
散歩に出かけたり、身体を動かしたりはしていますが、カフェに出かけて仕事をするという行動はほとんどなくなりました。
私はずっと「外で仕事をしないと気分が切り替わらない」と思っていたのですが、こうやって自宅で仕事をしてみるとまったくそんなことはないとわかりました。自宅で一日ふつうに仕事は進みます。
意識して気持ちを切り換えるようにはしていますが、「こうせざるを得ない」となると、私は意外に早く順応してしまうんですね。
何十年たっても、自分についての新たな発見があるものです。
もちろん、自分が自宅で仕事が進むのは「文章を書く」という仕事の性質にもよります。
現在ライフラインを支えてくださる方や、医療現場に携わっている方などはそうはいきません。そのような方々に深く感謝し、応援したいと思っています。
できるだけ人に会わず、手洗いをこまめに行い、体調を整える。自分にできることをしっかりやっていきます。
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では、今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞごゆっくりお読みください。
状況のコントロールと安心感
「状況を自分がコントロールしている」と感じる意味と有効性について、最近よく思います。
多くの人は「人からやらされる仕事」が嫌なものです。多少困難な仕事であっても「これは私の仕事」と自覚し「自分で決めた仕事」をするのはそれほど嫌ではありません。個人差はあるでしょうけれど。
「人からやらされる仕事」が嫌で「自分で決めた仕事」がそれほど嫌じゃないのは「コントロール」で説明ができそうです。「人からやらされる仕事」は自分のコントロール下にない感覚があるという意味です。
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