枕よりまた知る人もなき恋を涙せきあへず漏らしつるかな
#平貞文 (たいらのさだふみ) #古今和歌集 0670 #jtanka #短歌 #恋
枕のほかには知る人もいない恋なのだけれど、せきとめることに耐えられず涙を、そして恋心を漏らしてしまったことだよ。
「せきあへず」は「せき+あへ+ず」。「せき」はカ行四段動詞「堰く」の連用形で「せき止める、妨げる」の意味。「あへ」はハ行下二段活用の動詞「敢ふ」の未然形で「こらえる、たえる」の意味。「ず」は打消の助動詞「ず」の終止形。「せきあへず」は「せきとめることにたえられない」の意味。
「もらしつるかな」は「もらし+つる+かな」。「もらし」はサ行四段動詞「もらす」の連用形で「漏らす」の意味。ここでは「涙を漏らす」ことと「人に恋心を漏らす」こととを掛けている。「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形。「かな」は詠嘆の終助詞。
まくらより またしるひとも なきこひを なみだせきあへず もらしつるかな
まくらより またしるひとも なきこいを なみだせきあえず もらしつるかな
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