古今和歌集を読む

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色もなき心を人に染めしよりうつろはむとは思ほえなくに(紀貫之)

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 729 #jtanka #短歌 #恋 色などついていない私の心をあの人で染めたときから、私のこの気持ちが色がうつろうように変わっていくなんて思えません。 「染めし」は、「染め+し」。下二段活用の他動詞「染む」の連用形「染め」に、過去を表す助動詞「き」の連体形…

さくら花ちりぬるかぜのなごりには水なき空に浪ぞたちける

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 91 #jtanka #短歌 #春 さくらの花が散ってしまった風がやんだ後でも、水もない空に波のように花びらは舞っているなあ。 「なごり」は「波残り」で「風がやんだ後でも残っている波」がもとの意味。 「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形。連体形になっている…

人知れぬ思ひのみこそわびしけれわがなげきをば我のみぞ知る

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 606 #jtanka #短歌 #恋 人知れず燃えるばかりの私の「思ひ」という「火」は本当につらいものです。私の「思ひ」という「火」に投げ込む「投げ木」のような私の嘆きを知っているのはただ私だけなのですよ。 「思ひ」は「火」に掛けています。 「わびしけれ」は…

今年より春しりそむる桜花ちるといふことは習はざらなん

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 49 #jtanka #短歌 #春 春を知り始めたかのように今年から花を咲かせ始めた桜の花よ。どうか散るということは習わないでください。 「しりそむる」は「知り初むる」で「しり+そむる」。「しり」はラ行四段活用動詞「しる」の連用形。「そむる」はマ行下二段活…

ことならば咲かずやはあらぬ桜花見る我さへにしづ心なし

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 82 #jtanka #短歌 #春 こんなふうに散ってしまうということならば咲かないでいればいいのに桜の花よ。あなたを見る私の方までも落ち着かない気持ちになってしまうではありませんか。 「ことならば」は「同じことならば」の意味。「如(ごと)ならば」。 「や…