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母が教えてくれたこと(文章を書く心がけ)

母の話を書こうと思う。

結城メルマガではよく父の話を書いている。教育者としての父。理系の世界を垣間見させてくれた父。自分の仕事を考えても、自分の生活を考えても、父の影響は大きい。結城は父から「教える」ということを学んだ。

◆父から学んだ「教える」ということ

父のことと共に、母のことをよく思う。母は、実家で一人暮らしをしている。私は毎朝、母にメールを送る。母は毎朝携帯でメールを返す。

母は短歌を作っている。若いときに短歌を始め、仕事が忙しくなってからは一時中断し、退職近くなってから短歌を再び始めた。どんなことを考えて詠んでいるかはよく知らない。

帰省したときに一度、短歌の話をしたことがある。母が考えるいい短歌とは「ぎゅうっと水をしぼった布巾」のようなものだそうだ。水を含ませただけの布巾はびしょびしょで、それでちゃぶ台を拭いても濡れるばかり。

力を入れてぎゅうっとしぼる。水が流れる。もっとしぼる。水滴はまだぽたぽた垂れる。さらにしぼって、もう水滴が垂れなくなった布巾。

そのような短歌がいい、と母は言っていた。

なるほど、と私は思った。それは、言葉を扱う多くの分野にあてはまるのではないだろうか。「ぎゅうっと水をしぼった布巾」とは「無駄を省く」と表現することも、「必要十分な言葉で」と表現することもできるだろう。

私は、自分の文章を「ぎゅうっとしぼって」いるだろうか。母と話していて、そんなことを考えさせられた。

母から学んだことは多い。

また、別の機会に話すことにしよう。

結城浩のメールマガジン 2014年9月23日 Vol.130 より


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