「わからない」こそ伝えよう(コミュニケーションのヒント)
くわしい状況が「わからない」とき、私たちは伝えるのをためらいがちです。でも「わからない」ことこそ、きちんと伝えた方がいいですよ。
×「わからない」を伝えなかった例
社員「残念ながら、各モジュールとも開発が予定より遅れています。入力モジュールの開発は、四課のメンバに加わってもらうことにしました。出力モジュールの開発はヘルプが困難なので、機能を落とすことにします。報告は以上です」
上司「なるほど。ところで君は、三つあるモジュールのうち、二つしか言及しなかったようだが…」
社員「あ、ええと、はい…。変換モジュールの部分は担当者が病欠していて、実は状況がまだよくわからないのです。そのため、対策はまだ立てられていません」
上司「対策が立っていないものこそ、きちんと報告してもらわなくちゃ困るじゃないか」
この社員は、状況がわからない項目に言及しませんでした。もしも、言及していない項目の存在に上司が気づかなかったら、対策が立っていない項目を見逃してしまうことになりますね。たとえ、状況がわからないとしても、まさにその「状況がわからない」ということを伝えるのに意味があるのです。わからないからといって、口をつぐんではいけません。
△「わからない」を伝えた例
社員「残念ながら、各モジュールとも開発が予定より遅れています。入力モジュールの開発は、四課のメンバに加わってもらうことにしました。出力モジュールの開発はヘルプが困難なので、機能を落とすことにします。変換モジュールの部分は担当者が病欠していて、実は状況がまだわかっていません。状況がわかりしだい、対策の検討と連絡を行います。報告は以上です」
上司「なるほど。三つあるモジュールのうち、二つは対策が立てられているが、一つはまだ、ということだね」
社員「はい。状況把握が遅れてすみません」
上司「わかった。来週クライアントと会うことになっているから、そこまでには対策を検討しておいてほしい」
状況が「わからない」ということ自体も重要な情報ですから、きちんと伝えたいものですね。
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