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家内と話す『話をさえぎる話』(コミュニケーションのヒント)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。

 * * *

結城「ねえ」

家内「え?」

結城「このあいだ、《打ち合わせでは人の話をさえぎらない》というノートを公開したんだ」

家内「ふうん。私でも読める?」

結城「うん。読めるよ。ほら、よく人の話をさえぎる人っているじゃない。なぜだと思う?」

家内「なぜ?」

結城「いろんな理由があるけれど、相手の言いたいことはもう分かっているよという気持ちとか——」

家内「私だったらね…って、あ、私もあなたの話さえぎっちゃった?」

結城「そうだね。——分かっているって気持ちとか、場の支配権を奪われるとか、自分の話をしたいとか」

家内「へえ、なるほど。でも、その中には私がさえぎりたい理由はないなあ」

結城「どういう理由?」

家内「んーとね。すぐに質問しないと『忘れちゃう』のよ」

結城「ああ、そうだね。でも、そういうときにはメモしておくんじゃないかなあ」

家内「メモ?」

結城「メモしておいて、話が終わってから聞けばいいよね。もしかしたら、相手の話を最後まで聞いたら、質問しようと思っていたことに対する答えも話してくれて、そもそも質問しなくてよかったということになるかもしれないでしょう?」

家内「うーん…。でもでも、でもね。ほら、私が疑問に思っているようなことと同じことを、話を聞いている他の人も感じていて、私が質問することで話題が広がるかもしれないじゃない」

結城「うん、そういうのはあり得る。で、それはまさに『いまの発言者の話を継続して聞くよりも、私の話を聞きなさーい』ってことじゃないのかな」

家内「うーん、ちょっと違うと思うんだけどなあ。だって、ほら、いま言わなかったら忘れちゃうかもしれないでしょ?」

結城「それはあなたがね。でも話をさえぎると、発言者の思考の流れを絶ってしまうことになる。話の腰を折るってやつだね。そうすると発言の品質が落ちてしまう。あなたが忘れることで話題が抜け落ちてしまうことと、発言の腰を折って発言の品質を落とすことの間のトレードオフということになる」

家内「確かに…でも、いつもいつもメモするわけにもいかないんじゃないかなあ」

結城「仕事で打ち合わせをするときにはメモを持つのは鉄則だね」

家内「えー、仕事で打ち合わせっていう限られたシチュエーションでの話なのお?」

結城「最初にそういったじゃない。打ち合わせでは『人の話をさえぎらない』って」

家内「そっか。メモを持ってなかったらどうする?」

結城「私だったら指を折る」

家内「指?」

結城「そう。あとで思い出すトリガーにするために『言っとかなくちゃ』と思った話題があったら、指を折る。内容はメモできなくても、存在を忘れないようにするために」

家内「私だったら絶対『こ、この指折ったの、何のためだっけ?!』ってなるなあ」

結城「あはは」

 * * *

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