見出し画像

老いに備える知的生活と作業ログ(仕事の心がけ)

年を取ってくると興味関心が弱くなる。興味関心の範囲が狭くなる。興味関心に従って行動する力も弱くなる。

さらに「よし、やるか!」と踏ん切りを付けて始めることがなかなかできない弱さもある。その弱さをもう少しパラフレーズしよう。それは、やり始めれば進むことがわかっているけれど、先がどうなるかわかってしまうと急に動けなくなるという弱さだ。

 * * *

以前「ルーチンワークを創造して、一冊の本を書き上げる」という文章を書いた。仕事をするときには、頭を使って仕事の進め方をデザインし「あとはルーチンワークをこなすだけ」にしてしまえ!という話である。

◆ルーチンワークを創造して、一冊の本を書き上げる(本を書く心がけ)

しかし、このやり方がかえって害になる場合もあるようだ。老いのせいかもしれないけれど「あとはこれをこなすだけ」になってしまうと、急激にモチベーションが下がってしまうことがある。

いつもそうなる、というわけではない。自分自身が、自分の成果物なり最終結果を見たくてしょうがないときには、さまざまな障害を吹き飛ばす勢いで作業を進めたくなる。プログラムが形になりはじめ、完成間近なときにこの現象が起きる。このときにはモチベーションなんて心配しなくていい。Just do it! ただ進めばいいだけである。

でもしばしば、先を見切ったような気持ちになり、「結局こういって、こうなって、こう決着するな」などと考えてしまう。そして「よし、やるか!」という踏ん切りが付かない。やればいいとわかっていても、できないことがある。

そんなとき、どうすればいいんだろうか。

うまく踏ん切りがつけられず「やればわかっているけど、できないんだよう!」というときにはどうすればいいんだろうか。

 * * *

こんな方法はどうだろう。

「何はともあれ、決まった時間だけ、その作業を行う」

ここで大事なのは、作業開始時のモチベーションとは無関係に作業開始する点だ。自分のモチベーションがどうであれ、かまわない。

・決まった時刻が来たらその作業を始める。
・過去の進捗の有無は気にしない。
・終了時刻が来たらやめる。

この方法は、次回の作業を開始するときの「敷居を下げる」効果もある。ちょうど、自分が作業を進める機械になったような気持ちになって、作業に着手するのである。

これを継続するという方法はたいへん効くのではないだろうか。というか、結城の場合にはとてもよく効く。

 * * *

さらにそのとき、「作業ログ」を書くのがとてもいい。たった一行でもかまわない。自分の作業について書き残すのである。

「何をやったか」を書くのもいいけれど「老いに備える知的生活」として特に大事なのは「この次の作業時間で何から始めるべきか」も忘れてはいけない。もしかしたら「何をやったか」よりも大事かもしれない。

それは、老いてくると「記憶力が落ちてくる」のは当然だけれど、それと同時に「なすべき作業を頭にロードする」のにも時間がかかるようになるからだ。作業ログを書き、それを次回の作業開始時に読むことで、ロード時間を短縮するのである。

 * * *

以上「老いに備える知的生活」と作業ログの話でした。

 * * *

よろしければ、以下もお読みください。

◆老いに備える知的生活(結城浩ミニ文庫)

 * * *

結城浩のサークルでは「結城浩の作業ログ」を毎日配信しています。あなたも参加してみませんか。

 * * *

結城浩はメールマガジンを毎週発行しています。あなたも購読してみませんか。

#結城浩 #仕事の心がけ #仕事 #作業ログ

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年5月17日 Vol.216 より


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートは、本やコンピュータを買い、さまざまなWebサービスに触れ、結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださるのも大きなサポートになりますので、よろしくお願いします。 https://amzn.to/2GRquOl

結城浩です。《スキ》をしてくださるのは、大きなはげみです。感謝!
25
本を書いています。『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。https://link.hyuki.net/mm でメルマガ配信中。https://link.hyuki.net/girlnote でcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

こちらでもピックアップされています

仕事の心がけ
仕事の心がけ
  • 36本

仕事をするときにちょっと心に留めたいことを集めていきます。いわゆるお仕事だけではなく自分の活動全般に役立つヒントです。