「言った!」「言ってない!」は失敗プロジェクト(仕事の心がけ)
あるプロジェクトを進めているとしましょう。仲間同士の活動でもいいし、会社の業務でもいいのですが、ここでは会社の話とします。
プロジェクトは複数人で進めるのがふつうです。ときには複数の会社から人が集まることもあります。自社から何人、他社から何人、みたいな形でチームが作られ、プロジェクトが進行します。
多くの場合、プロジェクトでは定期的に打ち合わせや進捗報告がなされます。問題が起きれば相談して問題解決に当たります。必要があれば方針変更を行います。
さて、そこで。
プロジェクトがうまく行っているうちはいいのです。
プロジェクトがうまく行かなくなってくると、
「言った!」
「言ってない!」
という言い争いが登場します。「言った!」「言ってない!」は、具体的には、
「プロジェクト予算がこれだけってことはないでしょう? 初めの話と違うよ!」
あるいは、
「その対策は御社でやるはずでしょ? なんでウチがやることになってんの?」
みたいなセリフですね。
あなたはプロジェクト予算をこれこれだと「言った!」だろ?
いやいや、私はそんなこと「言ってない!」。
この応酬です。
御社がその対策をやると「言った!」ですよね?
とんでもない、我が社ではそんなこと「言ってない!」ですな。
このやりとりです。
「言った!」
「言ってない!」
* * *
この「言った!」「言ってない!」が始まったら、そのプロジェクトは失敗プロジェクトだと思った方がいいですね。
「言った!」「言ってない!」が起きるということは、キーマン同士の意識や理解がきちんと合っていないことを意味します。
また、プロジェクトの定例会議が機能していないともいえます。
さらに、「これっておかしくね?」と小さな異常を見つけた現場からの情報吸い上げがうまくいってないこともあります。
多人数のプロジェクトがうまくいくためには、情報の流れを押さえることが大事です。座組み、権限、役割が明確になっていて、何がどのように決まっていき、問題が起きたときにはどうやって解決していくか、その全体像が見えていないとプロジェクトはうまく回りません。
「言った!」「言ってない!」が起きるということは、効果的で意味のある議事録が作れておらず、メンバーの意識合わせも不十分で、細かなズレを補正する力もなく、互いの信頼や敬意もないということですから、失敗プロジェクトになるのは当然といえます。
* * *
以上、今回の「仕事の心がけ」は、
「言った!」「言ってない!」は失敗プロジェクト
というお話でした。あなたはどう思いますか。
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年3月22日 Vol.208
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