「数学ガール」シリーズに登場する村木先生のモデルになった先生の思い出話(教えるときの心がけ)
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.157より)
「教えるときの心がけ」のコーナーです。もっとも、今回は「学ぶときの心がけ」かもしれませんが。
「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」シリーズを書いていると、自分の高校時代のことを思い出します。といっても、あの本に出てくるようなすてきな女の子とのやりとりがあったわけではないんですけれど。
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「数学ガール」シリーズには村木先生という謎の先生が登場します。先生本人が登場するわけではなくて、村木先生が数学ガールたちに《カード》と呼ばれる問題を提示する、そういう影の役割として出てきます。
この村木先生には間接的なモデルがいます。結城の高校時代の恩師の一人です。名前は違うけど、仮に村木先生と呼ぶことにしましょう。結城は高校時代、その村木先生に数学を教わりました。
先生の授業は、綺麗な板書で有名でした。雑な文字や数式を書くことはほとんどなく、無駄な言葉を書くこともありません。大きめの字で読みやすく、必要十分な文言だけを板書します。
ただ、授業の途中で自分の説明に酔ってしまうことがあり、一人でくすくす笑ったり、そうだそうだと独り合点したり。生徒の人気も、好きと嫌いに二分されていましたね。
結城はこの先生が好きでした。言葉遣いがていねいで、安心して聞いていられるからです。
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結城は、村木先生に「数学の参考書を紹介してください」と個人的に尋ねたことがあります。推薦してもらったのは(たぶん)大学で使う論理学の教科書でした。中谷太郎『論理』(共立出版)という本ですね。
初めの方の命題論理のあたりはちゃんと読んだ形跡がありますが、終わりの方の群や体の話はあまり読んでいなかったようです。たぶん、高校生の結城は途中で読むのを断念したんじゃないかな。
今にして考えてみると、推薦してもらったこの本は、受験の役には立たなかったと思います。でもその後、プログラマとして仕事をするときや、技術的な書籍を書く上では役に立っているかもしれません。そういう意味では、勉強って何がどこで役立つかわからないともいえますね。
どんなことでも、きちんと学んでいれば、いつか役に立つときが来る。というか、自分の血肉になっていれば、自然と役に立っているといえないでしょうか。
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高校時代、結城は職員室に入り浸って先生と話をするのが好きでした。数学や物理の問題を解いたのを先生に見てもらったり、古文の暗誦を先生に聞いてもらったりしたのを懐かしく思います。高校時代の勉強は好きでしたから、勉強を通して教師とコミュニケーションを取っていたんでしょうね。
結城は先生との出会いには恵まれていたと思います。
結城の息子は(このあいだ生まれたと思ったのに!)もう高校生です。高校生としてよい先生との出会い、よい学びとの出会いがあればいいなと思います。
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