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大人になってから数学をやり直す(学ぶときの心がけ)

先日、こんな質問をいただきました。

30代のオッサンが「今から数学をやり直したい!」と思った場合、まず何から始めたほうがいい?

以下は、この質問に端を発した文章です。

まず何から始めるのがいいかということですと、自分の年齢を気にするのをやめることから始めるのがいいですよ。

大きめの本屋さんに行って、そこに並んだ参考書を眺めて、自分がわかりそうな本を読んでみましょう。そして、自分の「わからなくなる最前線」を探してみるのはどうでしょうか。

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専門的な数学を学びたいというのであれば、それを教えるのに適した学校に行くのが一番ですが、それについては今は書きません。

小学校・中学校・高校の数学を、大人になってからやり直したいという場合について書いてみます。

まず、そういう「大人になって数学をやり直したい」という人は、決して少なくありません。

最近は、大人向けの数学の本もたくさん本屋さんに並んでいますので、教材にはことかかないといえるでしょう。ですから、本屋さんで本を見てみるのがいいんじゃないかと思います。

私が大事だと思うのは、恥ずかしがらずにちゃんとやさしい本、自分の理解ができる本を選ぶことです。年齢を気にしないというのはそういう意味でもあります。もう大人なんだから小学生向けの算数の計算は恥ずかしいとか、もっと難しい本でなければいけないとか、そういう思い込みはやめたほうがいいと思います。

数学では「自分は本当にわかっているのか」という感覚が大事になります。「わかったふりをしない」と言ってもいいですね。わかったふりをせず、本を読んで考えて問題を解くという作業が必要になります。

「わかったふりをしない」といっても、「完全にわかるまで先に進んではいけない」というわけではありません。ある程度わかったら先に進み、また後で戻ってくるといういったりきたりも必要です。

それに、もしも一つの本でわからないとしても、「ああ、やっぱり自分には無理なんだ!」と頭を抱えたりせず、別の本を当たってみることも大事です。もしかしたら、自分には難しすぎる本を選んでしまったのかもしれませんから。

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別の注意もあります。それは数学を「パッとすぐにわかる」ものだと思わないこと。パッと読んでサッとわかることを目指すのではなく、泥臭くノートに自分の手で書いてみることも大事です。

大人になってから中学高校の数学をやり直すなら、たっぷり時間をかけて進むのは一つの方法だと思っています。学ぶ方法は人それぞれなので、こだわる必要はありませんが、ほんとうに納得するまで、粘り強く学ぶのは大事です。

そもそも、自分が学校に通っていた時代にパッとわからなかった人が、やり直してパッとわかるとは考えにくいでしょう。マイペースで進もうと心決めをして、じっくり行くことも大事ですね。

大人になってから数学を学び直すという人は、学校の試験を気にしなくていいわけです。ですから、じっくり時間を掛けて楽しみつついきましょう。

少しでも何かが「わかった」なら大喜びしましょう。いままでわからなかったことが「わかる」っていうのは、とてもすごいことなんですよ。

この世に生きているどんな人でも、すべての数学を理解している人なんかいません。自分なりの理解を積み重ねて楽しみましょう!

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そして、結城も、同じことを自分にいつも言い聞かせています。

時間が掛かってもいいから、自分なりのペースで、楽しみつつ理解を積み重ねていこう!ってね。

以上、「学ぶときの心がけ」のコーナーでした。

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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年9月27日 Vol.235 より

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