少ないほど効く(コミュニケーションのヒント)
人に何かを伝えたいとき、あれもこれもと盛り込み過ぎてはいけません。
まずは、盛り込みすぎた連絡の例から。
盛り込みすぎた連絡
上司「来週の出荷は重要だから、ミスがないようにしてもらいたい。前回は古いロットの製品が混ざるという失態があったから、今回は注意しなければいけない。出荷プロセスも変わっている。主な変更点は連絡先と連絡方法が変わったことだ。確認番号のフォーマットも変わっている。詳しくはマニュアルをよく読むこと。新しいマニュアルはええとこの間が3.1だったから、いや、この間が3.2だったから、3.3だな。マニュアル3.3だ。そっちのほうに連絡先の変更点と連絡方法の変更点が書いてある。古いロットの件はマニュアルには書いていないけれど、混在しないように要注意だ。みんなもすでに知っているように、大阪からの要請で、赤箱は大阪に送るという手はずになっている。特別扱いということだ。マニュアルのほうには赤箱の件は書いていない。マニュアルには出荷プロセスのことしか書いてないからな。出荷プロセスがわかりにくいという話があったけれど、まずは熟読してほしい。本社のほうでも改善の努力をしているというのが、今回の出荷プロセスの変更に現れているんだな。だからまずはマニュアルを読むこと。連絡方法も変わったから間違えないようにしてほしい。確認番号のフォーマットも変更がある。そういうところに気を配ってマニュアルを読まなくちゃいけない。熟読だな。新しいロットと古いロットの扱いは、基本中の基本だから、特にマニュアルには記載していない。そういうレベルじゃないんだな、きみたちに期待しているのは。だから前回古いロットの製品が混ざったのは上司の私としてもまことに残念だった。ともかく、重要なポイントはわかったとおもう。来週の出荷は重要だから、頑張ろう」
部下「は、…はい」
要点を整理して、短くまとめた連絡の例も示しましょう。
要点を整理した連絡
上司「来週の出荷は重要だから、ミスがないようにしてもらいたい。ポイントは三つだ。
・ポイント1:出荷プロセスが変わった。マニュアル3.2ではなく3.3に従うこと。
・ポイント2:赤箱は特別扱いになるので、大阪に送ること。
・ポイント3:古いロットが絶対に混在しないようにすること。
いいかな。マニュアルは3.3、赤箱は大阪、古いロットを入れない。以上三点に注意して頑張ろう」
部下「はい」
* * *
重要なものこそ短く。
少ないほど効く。
Less is more.
* * *
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