Lara Croft GO(結城浩のゲーム紹介)
結城はiPhoneでパズルゲームをするのが大好きです。最近は、"Lara Croft GO" というゲームを楽しんでおり、先日全画面コンプリートできました。
こちらが紹介動画です。
"Lara Croft GO" Launch Trailer(紹介動画)
この紹介動画を見ると、Lara Croft GOは「アクションゲーム」みたいに見えるのですが、まったくそんなことはありません。運や確率は関係なく、タイミングを狙って操作する必要もありません。反射神経は不要です。Lara Croft GOは、純粋に詰め将棋のように一手ずつ進めていく種類のパズルゲームなのです。
詰め将棋と便宜上書きましたが、そんなに複雑でもないし、難しくもありません。よいゲームに見られるように、難易度の調整が非常にうまく出来ており、飽きもせず、行き詰まりもせず、少しずつ進んでいけるようにできています。
このパズルゲームを解いているとき、説明文の書き方に通じるところがあると思いました。新しい要素は同時にたくさん出てこない(ここで伝えたいたった一つのこと)。必ず一種類ずつ登場する。しかも、初登場のシーンでは、その特徴がよくわかるようになっている(良質の例題)。二回目に登場するシーンでは、その特徴を生かした応用例が出てくる(理解したかどうかを調べる練習問題)。
まさによい説明文の書き方に通じます。
たとえば、Lara Croft GOには「壊れかかった道」という場所があります。最初は必ずそこを通るように誘導され「壊れかかった道」は二回通ると落ちるのだという情報がユーザにはっきり伝わります。どうして伝わるかというと、実際に二回通ると穴に落ちて死ぬから! その情報はヘルプなど見なくてもちゃんと伝わるのです(良質の例題)。
少し進むと「壊れかかった道」が壁として使われます。その場面では「二回通ると落ちる」という性質をうまく使い「わざと二回通って落ちることによって、先に進む」ということを自力で発見しなければなりません(理解したかどうかを調べる練習問題)。うまいなあ。
そのようなシーンを積み重ねながら、ユーザはこのゲームの世界の複雑な成り立ちを、少しずつ少しずつ理解していきます。しかもばらばらの知識が増えるのではなく、相互関係をつかみつつ理解するのです。
そうして、次第に解くのが難しいシーンに向かうのですが、そこでは、ここまで無理なく得た知識を自分なりに組み合わせて解くことになります。そして、うまく組み合わせれば自然に解けるように設計されています。この難易度バランスが絶妙。思わず「私ってすごい!私ってもしかして賢い?」と自画自賛しそうになってしまうほどに。
ということで、この"Lara Croft GO"、いつのまにかコンプリートしていたのでした。とっても楽しめるゲームです!
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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年9月29日 Vol.183 より