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学ぶことは何の役に立つの?(学ぶときの心がけ)

「三角形の面積を求める方法を学ぶなんて、僕の人生で何の役に立つというのですか?」

「簡単なルールを与えられたときに、それを具体例に適用することは、誰の人生でもさまざまな役に立つと思うよ」

「そのルールの話と、三角形の面積の話と、何か関係がありますか?」

「具体例を見たときに、そこに隠れているルールを見つけることは、人生で大切かもしれないね」

「そんなにややこしくて抽象的なこと、僕にはできませんよ」

「うん。だから、具体的な三角形の面積を求めることで、それを学ぶんだ」

 * * *

……こんな一連の対話が心の中に降ってきて、私はその対話にじっと耳をすませていました。

この対話に対して「なるほど」と思う気持ちと「そうかな?」と思う気持ちと、両方があります。

この対話で語られているのは「三角形の面積を求めること」を「思考の訓練」と見なす態度のようです。思考の訓練として役に立つ、と。

それはそれで一理あるのですが「三角形の面積を求めること」は「それだけで十分に楽しいこと」じゃないだろうかとも思えます。

知識を得ること。技能を身につけること。新しいものを学ぶこと。それらがいったい「何の役に立つの?」という疑問は大切です。しかし、それら自体が「おもしろいかどうか」という基準も大事なんじゃないでしょうか。

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「学ぶことは何の役に立つの?」という問いかけに答えるのは難しいものです。答えはたった一つに限ったものではないでしょう。

この文章を読んでいるあなたはきっと「学ぶことは何の役に立つの?」と言われたとき、答えの一つや二つを思いつきますよね。具体的な答えかもしれない。抽象的な答えかもしれない。真っ直ぐな答えかもしれない。やや斜に構えた答えかもしれない。誰かを守るような答えかもしれない。誰かを責めるような答えかもしれない。

でも、きっと、もう一つ別の答えがあります。

ぜひ、考えてみてください。

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年6月21日 Vol.221 より

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