彼女に伝える(日々の日記)
結城は自分の妻のことをTwitterで「彼女」と呼んでいます。
私は、彼女の素敵なところを見つけたら、彼女に伝えるように心がけています。
素敵なところというと範囲が広いですが、実際のところ何でもいいのです。私が見聞きして「あ、素敵だな」と感じたら、できるだけ早くそのことを彼女に伝えます。
具体的には、着ているもの。お出かけ着でも、普段着でも、ぱっと見て「素敵」と思ったら、そのことを彼女にそのまま伝えます。結城はファッションのことはさっぱりわからないのですが、そんなのはどうでもよくて、私が「素敵」と感じたままを伝えています。
服だけではなく、アクセサリや髪形、眼鏡(彼女は眼鏡っ娘なのです)、立ち居振る舞いについても細々と彼女に伝えます。
言葉遣いもそうですね。メールや電話での言葉遣いが「素敵」と思ったらそのことを伝えます。言葉遣いに関してはファッションと違い、少し解説が増えるかもしれません。特に彼女は人に対する思いやりが深く、そのことが言葉選びの端々に現れます。そのことにも言及します。
彼女が行う家事などの行動についても「素敵」と思うところを伝えます。もちろん「素敵」だけではなく「感謝」という思いも込めて。
彼女の気配りについても「素敵ですね」と伝えることがよくあります。気配りというものは、言葉や行動に現れるだけではなく、何も言わず何もしないことに現れる場合もあります。それに気付いたときは、彼女にそのことをはっきりと伝えます。これもまた、感謝を込めて。
「あなたはこういうところが素敵ですね」と伝えると、彼女は喜んでくれます。彼女が喜んでくれると私もうれしくなります。
言葉を彼女に伝えるときには、《表面に見えている彼女》に対してではなく、《内側に隠れている彼女》に対して言葉を伝えるように心がけています。
感覚的な言い回しなのでわかりにくいかもしれませんね。たとえていうならば、相手に言葉のボールを投げるときに、相手の目の前でぽとんと落ちてしまうような言い方はしないということです。そうではなくて、相手の内側まで届いてほしいという願いを込めて、ボールを投げるような言い方をするということ。余計わかりにくくなりましたが、そういう感覚です。
言葉が目の前でぽとんと落ちてしまうなら、落としてもかまわないやと思うなら、言葉をいいかげんな気持ちで使ってしまうでしょう。そうじゃなくて、相手に届き、さらには内側まで届くなら、少しでも自分の本当の気持ちに近い言葉を、ていねいに相手に送りたいと思うものです。
「素敵だな」と思ったら、彼女にそのことを伝えています。でも伝えるのはそれだけではありません。いつも「感謝しています」と言いたいと思っています。機会をとらえて「ありがとう」と言いたい。
もちろんそれは、私に対していろんなことをしてくれることへの感謝や、家庭を切り盛りしてくれることへの感謝なのですが、それだけではありません。
「してくれる」ことへの感謝だけではなく「いてくれる」ことへの感謝を伝えたい。
彼女が、私のそばに「いてくれる」という「存在」への感謝を伝えたいのです。
いつも、ありがとう。
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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年8月16日 Vol.229 より