英語・数学・国語を学ぶ(学ぶときの心がけ)
結城メルマガのVol.209で「英語と国語」の話を書いたところ、高校生の方から反響があったので、続きを少し書きましょう。
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結城が若いときに学んだことは非常に役立っています。特に、高校までに身につけた「英語・数学・国語」の力は、結城の毎日の仕事にとても役立っています。英語・数学・国語は、まさに《主要三科目》といえます。これが現在の生活を根底から支えているといっても過言ではありません。若いときに学んでおいて本当によかった!と心から思います。
とはいうものの、もちろん「もっと勉強しておけばよかった」と思うことはたくさんあります。決して、高校時代の学びで十分だったと言いたいわけではありませんし、現在の自分の状態が完璧だなんていうつもりもありません。
けれど、時間というものはもとには戻せません。「ああ、あのときこうしておけばよかった」「もっとこれを学んでおけばなあ」という気持ちはありますけれど、悔いてばかりいてもしょうがありません。悔いる時間があったら、その時間を必要な学びにまわしたほうがいいですよね。
高校時代には、どうしてもテストの点数や成績が気になります。一点の違いに一喜一憂してしまいます。それはそれで大事なことですし、テストによって自分の学びが効果的かどうかを知ることは大切です。ある科目の習熟度に関して、相対的な位置を知ることも大事でしょう。大学受験を考えるのなら、最後は一点勝負になることもあるでしょうから。
でも、当然なのですが、点数を取ることが学びの目的ではありません。
たとえば英語を例にとります。大人になって、自分が読みたいと思った大切な文章が、英語で手に入るというのはよくあることです。まだ日本語に翻訳されていない。けれど読みたい。そのような状態のとき、自分でざっと英文に目を通し、鍵になるところだけでも読めるなら、それは本当に助かります。
結城は決して英語が堪能なわけではないし、特にヒアリングはぜんぜん駄目ですけれど、読みたい英文の資料で「あたり」を付け、重要な部分は時間を掛ければ読むことができる。それだけでたいへん助かっています。
数学も同じです。結城はいま数学読み物を書いていますから、直接的に役立っているのは確かです。でも、それだけではありません。与えられたややこしい情報を解きほぐして整理し、自分の考えるべき問題に適用して解く。このような思考ができるのは、数学を学んでいたからじゃないかと思います。
特に数学は日常生活から離れた概念操作を行いますよね。ですから、目の前にやってきた問題を常識だけで解くのではなく、論理的な根拠をもとにして解こうとするという態度は、数学を通して身についたように思います。
高校時代に、テストの点数を気にするのは悪いことではありません。でも、テストの点数《だけ》を気にするのは悪いことです。それよりも、
自分はきちんと頭を使って学んでいるのか
自分はほんとうに、ほんとうに理解しているのか
を気にする方がいいでしょう。せっかく貴重な《若い時間》を使って学んでいるのですから、大人になって、テストの点数が意味を持たない世界に入っても、役に立つ学びをしたいものですね。
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ここまでの内容を妻に話してみました。
私「だから、英数国の主要三科目は、私の毎日に役立ってるんだよ」
妻「三つとも『言葉』に関係してる」
私「おおお! ほんとだ! 数式も言葉の一種だからね。さらに言えば、プログラミングも言葉だ!」
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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年4月19日 Vol.212 より
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