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本を書く心がけ

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結城が本を書くときに心がけていることや、手書きの執筆メモなどをお届けするマガジンです。
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#数学ガール

「数学ガール」はどうして「ガール」なのですか(本を書く心がけ)

質問結城先生の『数学ガール』は、どうして「ガール」なのですか。読者に男性が多いからでしょうか。 回答ご質問ありがとうございます。少し長くなりますが、じっくりお話させてください。 結城が数学を学んだ環境私には姉がいます。私は小さいころから姉によく数学を教わりました。三角関数や積分なども姉から教わりましたし、数学の参考書を選ぶときも姉に助けてもらいました。 私の中学時代の数学教師は三年間ずっと女性でした。姉とのやりとり、教師とのやりとりを通じて、私にとって「数学を深く理解し

『数学ガール/ポアンカレ予想』の書籍執筆で「大手術」をしたときの思い出(本を書く心がけ)

『数学ガール/ポアンカレ予想』を書き上げるまでにはたくさんの苦労や重要な判断がありました。たぶんその中で最大級の判断の一つは第3章の「大手術」でした。 「大手術」というのは具体的にいうと、初校から再校のあいだで第3章の約半分の書き換えを行なったことです。初校が出た後でこういう大量書き換えは、やってはいけないのが普通です。編集もやりなおしになるし、組版にも多大な影響を与えてしまうからです。 初校のあとの大手術がよくないのは百も承知だったのですが、あえてわがままを通させてもら

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ぜんぶ文章にしてしまえ(本を書く心がけ)

いま「グラタン」というコードネームをつけている本を書いています。別に、コードネームでカッコつけているわけではありません。ただ、まだちょっと迷いのようなものが残っているので、コードネームにしているだけです。 新刊の準備でだいぶ放置状態になっていたグラタンを再始動しています。思えば今年は「習慣の力」を生かすという目標を掲げていました。週に何回かグラタンに意識的に手を付けて進めたいと思っています。習慣の力、習慣の力。 日和らずに、文章を決めていく段階が必要あちこちの章に手を付け

『数学ガール』を書いてるときの手書きノートを公開します(本を書く心がけ)

※ほぼ半分を無料公開しているノートです。 こんにちは、結城浩です。 「本を書く心がけ」のコーナーです。 このコーナーでは「本を書くこと」に関わるさまざまな話題をお話しします。 今日は「手書きノートのスナップショット」をお届けします。 手書きノートのスナップショットというのは、結城が本を書くときに使った手書きのノートをスキャンしたもののことです。 手書きのノートに書かれた図や文字や数式のメモを眺めつつ、何を考えながらそのメモを書いていたか、そのメモがどのように最終的

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