古今和歌集を読む

71

今年より春しりそむる桜花ちるといふことは習はざらなん

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 49 #jtanka #短歌 #春 春を知り始めたかのように今年から花を咲かせ始めた桜の花よ。どうか散るということは習わないでください。 「しりそむる」は「知り初むる」で「しり+そむる」。「しり」はラ行四段活用動詞「しる」の連用形。「そむる」はマ行下二段活…

ことならば咲かずやはあらぬ桜花見る我さへにしづ心なし

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 82 #jtanka #短歌 #春 こんなふうに散ってしまうということならば咲かないでいればいいのに桜の花よ。あなたを見る私の方までも落ち着かない気持ちになってしまうではありませんか。 「ことならば」は「同じことならば」の意味。「如(ごと)ならば」。 「や…

久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 84 #jtanka #短歌 #春 日の光がのどかな春の日だというのに、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散るのでしょう。 「久方の」はここでは「光」の枕詞。 「のどけき」はク活用の形容詞「のどけし」の連体形。 「しづ心」は「落ち着いた心」。 「ちるらむ」…

恋すれば我が身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆへ

#読人しらず #古今和歌集 528 #jtanka #短歌 #恋 あなたのことを恋い慕うので私は影法師のようになってしまったのですねえ……だからといって恋い慕うあなたに寄り添うものではありませんのに。 「恋すれば」は「恋すれ+ば」。「恋すれ」はサ行変格活用「恋す」の已然形。「ば」は接続助詞。ここで…

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし

#在原業平朝臣 (ありわらのなりひらあそん) #古今和歌集 53 #jtanka #短歌 もしも世の中にまったく桜がなかったなら、春を過ごす人の心はどれだけのどかでしょうね。 「たえて」は「まったく」の意味。 「せば……まし」は反実仮想の表現。実際とは異なることを仮定した場合を想像して語る。 「…

梅が枝にきゐるうぐひす春かけて鳴けどもいまだ雪はふりつゝ

#読人しらず #古今和歌集 5 #jtanka #短歌 梅の枝に来ている鶯は春を思う気持ちで鳴くけれど、雪はまだ降り続いているなあ。 「かけて」は「かけ+て」。「かけ」は下二段活用動詞「かく」の連用形。「て」は接続助詞。「心にかけて」「口に出して」の意味。 「つゝ」は動作の反復や継続を表しなが…

桜色に衣は深く染めて着む花の散りなむ後の形見に

#紀有朋 (きのありとも) #古今和歌集 66 #jtanka #短歌 桜色に衣を深く染めて着よう。桜が散ってしまった後に思い出すよすがとして。 「着む」は「着+む」。「着(き)」はカ行上一段活用動詞「着る」の未然形。「む」は推量(未来に関する意志)の助動詞「む」の終止形。「着よう」という意味。 …

春来ぬと人はいへどもうぐひすのなかぬかぎりはあらじとぞ思ふ

#壬生忠岑 (みぶのただみね) #古今和歌集 11 #jtanka 「春が来た」と世間では言うけど、鶯が鳴かないうちはまだ春は来てないだろうと思う。 「春来ぬ」は「春+来+ぬ」。「来(き)」はカ行変格活用「来」の連用形。「ぬ」は完了の助動詞。「春が来た」の意味。 「なかぬ」は「なか+ぬ」。「な…