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古今和歌集を読む

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古今和歌集(こきんわかしゅう)から親しみやすい歌を読みます。やさしい解説付き。ちょっぴり優雅な言葉の時間をあなたに。
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#紀友則

下にのみ恋ふればくるし玉の緒の絶えてみだれむ人なとがめそ

#紀友則(きのとものり) #古今和歌集 #0667 #jtanka #短歌 #恋 心の中でだけあなたのことを慕っているのでくるしいのです。玉の緒が切れて乱れ散らばるように私もすっかり乱れてしまいましょう。世の人々よ、それをとがめてはいけません。 「下」はここでは「心の中」の意味。 「恋ふれば」は「恋ふれ+ば」。「恋ふれ」はハ行上二段活用動詞「恋ふ」の已然形。「ば」は順接の確定条件(原因・理由)を表す接続助詞。「恋しているので」の意味。 「玉の緒の」は「絶ゆ」の枕詞。

(梅の花を折りて人に贈りける)きみならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る(紀友則)

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 038 #jtanka #短歌 #春 「きみならで」は「きみ+なら+で」。「きみ」は大切なあなたのこと。「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形。「で」は打消の接続助詞。「あなた以外に」の意味。 「誰にか見せむ」は「誰+に+か+見せ+む」。「か」は反語の係助詞(文末は連体形)。「見せ」はサ行下二段活用の他動詞「見す」の未然形。「む」は意志を表す助動詞「む」の連体形。「誰に見せるだろうか、いや、誰にも見せるまい」の意味。 「色」には

わが恋をしのびかねてはあしひきの山たちばなのいろに出でぬべし

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 668 #jtanka #短歌 #恋 恋心を隠しておくことができなくて、私の慕う気持ちは山たちばなの赤い色のようにはっきりと表に現れてしまうでしょう。 「あしひきの」は「山」の枕詞。 「いろに出づ」は「内にある気持ちが、ふるまいや表情などを通して外に現れる」の意味。 「いろ」は「色」と「表情・そぶり・顔色」の二つの意味を掛けています。496も参照。 「しのぶ」という単語は「忍ぶ」(がまんする)と「偲ぶ」(ひそかに慕う)があり

久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ(紀友則)

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 84 #jtanka #短歌 #春 「久方の」はここでは「光」の枕詞。 「のどけき」はク活用の形容詞「のどけし」の連体形。 「しづ心」は「落ち着いた心」。 「ちるらむ」は「ちる+らむ」。「ちる」はラ行四段活用動詞「ちる」の連体形。「らむ」は推量の助動詞「らむ」の終止形。現在起きていることの理由を推量している。 作者は散っていく桜を見て「落ち着かない様子だ」と擬人的に思っているのでしょうか。それとも散っていく桜を見て「自分の気

春霞たなびく山の桜花見れども飽かぬ君にもあるかな

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 684 #jtanka #恋 春霞がたなびいている山の桜はいくら見ても飽きることがありません。それと同じように、いくら逢っても飽きることはないんですよ、あなたには。 「春霞たなびく山の桜花」は序詞。意味でつながっているので、これは有心の序(うしんのじょ)になります。音でつながる場合には無心の序といいます。 「君にもある」は「君なる」を「も」によって強めたもの。「君なる」=「君にある」の「に」と「ある」の間に「も」が入った形。