古今和歌集を読む

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ノート

思ふには忍ぶることぞ負けにける色には出でじと思ひしものを

#読人しらず #古今和歌集 0503 #jtanka #短歌 #恋

いとしく思う心には、こらえる心が負けてしまいました。恋心は表に出すまいと思っていたのですけれどねえ。

「思ふ」は「恋しく思う」や「いとしく思う」の意味。

「ぞ……ける」は係り結び。

「忍ぶる」はバ行上二段活用の動詞「忍ぶ」の連体形。〔び・び・ぶ・ぶる・ぶれ・びよ〕

「色には出でじ」は「色+には+出で+じ」。「色に出づ」の

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結城浩です。《スキ》を送ってくださり感謝。はげみになります!
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やよや待て山ほととぎすことつてむわれ世の中に住みわびぬとよ

#三国町 (みくにのまち) #古今和歌集 0152 #jtanka #短歌 #夏

ねえ待ちなさい、山ほととぎすよ。言伝てしてはくれまいか。私はこの世の中に住みにくくなってしまったんだと。

「やよや」は強い呼びかけの感嘆詞。

「ことつてむ」は「こと+つて+む」で「事+伝て+む」。「伝て(つて)」は下二段活用「伝つ(つつ)」の未然形(未然形・連用形・命令形のみ)。「む」は勧誘・命令の助動詞「む」

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結城浩です。はげまされるのはとってもうれしい!
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(梅の花を折りて人に贈りける)きみならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 038 #jtanka #短歌 #春

(梅の花を折って、あの人に贈ったときの歌)あなた以外の誰に見せましょうか、いえ、誰にも見せますまい、この梅の花を。この色の美しさも、この香りのすばらしさも、あなたにしかわからないのですから。

「きみならで」は「きみ+なら+で」。「きみ」は大切なあなたのこと。「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形。「で」は打消の接続

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春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花

#読人しらず #古今和歌集 122 #jtanka #短歌 #春

春雨でつややかに美しい色も飽きないのに、色だけではなく香りまでも心ひかれる山吹の花ですねえ。

「にほへる色」は「にほへ+る+色」。「にほへ」はハ行四段活用「にほふ」の已然形。〔は・ひ・ふ・ふ・へ・へ〕。「る」は完了の助動詞「り」の連体形。「にほへる色」は「つややかで美しい色」のこと。

「にほふ」の「に」はもともとは「丹」で、赤

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紅の初花染めの色深く思ひし心われ忘れめや

#読人しらず #古今和歌集 723 #jtanka #短歌 #恋

初咲きの紅花で染めた色が深いようにあなたのことを深く思っていたこの心を私が忘れることがあるでしょうか。いいえ、忘れることはありません。

「紅(くれなゐ)」は紅花(べにばな)の異称。

「初花染め」は、その年初めて咲いた紅花で染めること(染めたもの)。

色が深いことと、思いが深いことを掛けています。

「忘れめや」は「忘れ+め+

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わが恋をしのびかねてはあしひきの山たちばなのいろに出でぬべし

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 668 #jtanka #短歌 #恋

恋心を隠しておくことができなくて、私の慕う気持ちは山たちばなの赤い色のようにはっきりと表に現れてしまうでしょう。

「あしひきの」は「山」の枕詞。

「いろに出づ」は「内にある気持ちが、ふるまいや表情などを通して外に現れる」の意味。

「いろ」は「色」と「表情・そぶり・顔色」の二つの意味を掛けています。496も参照。

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五月来ば鳴きも古りなむほととぎす未だしきほどの声を聞かばや

#伊勢 (いせ) #古今和歌集 138 #jtanka #短歌 #夏

五月が来たならば鳴き声も古びて新鮮味を失ってしまうであろう、ほととぎすよ。そのときになってもまだ未熟で整わず初々しさを持つ歌声を聞きたいものですねえ。

「来ば」は「来(こ)+ば」。「来(こ)」は「来(く)」の未然形。「ば」は仮定の接続助詞。「もしも来たならば」の意味。

「古りなむ(ふりなむ)」は「古り+な+む」。「古り(ふ

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人知れぬ思ひのみこそわびしけれわがなげきをば我のみぞ知る

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 606 #jtanka #短歌 #恋

人知れず燃えるばかりの私の「思ひ」という「火」は本当につらいものです。私の「思ひ」という「火」に投げ込む「投げ木」のような私の嘆きを知っているのはただ私だけなのですよ。

「思ひ」は「火」に掛けています。

「わびしけれ」はシク活用形容詞「わびし」の已然形。活用は〔しから・しく(しかり)・し・しき(しかる)・しけれ・

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種しあれば岩にも松は生ひにけり恋をし恋ひば逢はざらめやも

#読人しらず #古今和歌集 512 #jtanka #短歌 #恋

種があるので岩にも松は生えるのです。あなたを恋し続けたならば逢わないなんてことがあるでしょうか。いえ、そんなことはありません。

「種しあれば」の「し」は強意。

「恋をし恋ひば」の「し」は強意。「恋し続ければ」の意味。

「逢はざらめやも」は「逢は+ざら+め+やも」。「逢は」はハ行四段活用動詞「逢ふ」の未然形。「ざら」は打消の助

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ひと知れず思へばくるし紅のすゑつむ花のいろに出でなむ

#読人しらず #古今和歌集 496 #jtanka #短歌 #恋

人知れず思っているから苦しいのです。紅の末摘花の色のように、私の気持ちも表に出してしまいましょう。

「思へば」は「思へ+ば」。「思へ」はハ行四段活用動詞「思ふ」の已然形。「ば」は接続助詞。ここでは已然形に接続しているので順接の確定条件を表し「思うので」の意味。もしも「思はば」のように未然形に接続していたら順接の仮定条件を表し「思

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