古今和歌集を読む

71

下にのみ恋ふればくるし玉の緒の絶えてみだれむ人なとがめそ

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 #0667 #jtanka #短歌 #恋 心の中でだけあなたのことを慕っているのでくるしいのです。玉の緒が切れて乱れ散らばるように私もすっかり乱れてしまいましょう。世の人々よ、それをとがめてはいけません。 「下」はここでは「心の中」の意味。 「恋ふれば」は「恋…

心をぞわりなきものと思ひぬる見るものからや恋しかるべき

#清原深養父 (きよはらのふかやぶ) #古今和歌集 0685 #jtanka #短歌 #恋 心は理屈に合わないものだとどうしても思ってしまいます。もしそうでなければ、あなたとこうして逢っているのに恋しいなんてことがあるでしょうか。いいえ、そんなことはないはずですから。 「わりなき」は形容詞「わりなし…

今はとて君がかれなばわが宿の花をばひとり見てしのばむ

#読人しらず #古今和歌集 0800 #jtanka #短歌 #恋 あなたが「それではね」と言って離れてしまったならば、私はたったひとりで家の花を見て、あなたのことを偲び、あなたがいないことを耐え忍びましょう。 「今は」は「今となっては」「このようになった以上は」の意味で、別れのときに使う表現。 「…

枕よりまた知る人もなき恋を涙せきあへず漏らしつるかな

#平貞文 (たいらのさだふみ) #古今和歌集 0670 #jtanka #短歌 #恋 枕のほかには知る人もいない恋なのだけれど、せきとめることに耐えられず涙を、そして恋心を漏らしてしまったことだよ。 「せきあへず」は「せき+あへ+ず」。「せき」はカ行四段動詞「堰く」の連用形で「せき止める、妨げる」の…

大空は恋しき人の形見かは物思ふごとにながめらるらむ

#酒井人真 (さかゐのひとざね) #古今和歌集 0743 #jtanka #短歌 #恋 大空は恋しいあの人の思い出の品なのでしょうか。いえ、そんなことはありません。なのに、物思いにふけるたびに自然と大空をぼんやりながめてしまうのはどうしてなのでしょう。 「形見」はここでは「昔を思い出させる記念のもの…

秋風に山の木の葉のうつろへば人の心もいかがとぞ思ふ

#素性法師 (そせいほうし) #古今和歌集 0714 #jtanka #短歌 #恋 秋風で山の木の葉の色があせていくように、人の心も移り変わっていくものですから、私が好きなあの人の心もどうなのだろうと思わずにはいられません。 「あきかぜ」は「秋」と「飽き」を掛けています。 「うつろふ」は「木の葉の色…

思ふには忍ぶることぞ負けにける色には出でじと思ひしものを

#読人しらず #古今和歌集 0503 #jtanka #短歌 #恋 いとしく思う心には、こらえる心が負けてしまいました。恋心は表に出すまいと思っていたのですけれどねえ。 「思ふ」は「恋しく思う」や「いとしく思う」の意味。 「ぞ……ける」は係り結び。 「忍ぶる」はバ行上二段活用の動詞「忍ぶ」の連体形。…

やよや待て山ほととぎすことつてむわれ世の中に住みわびぬとよ

#三国町 (みくにのまち) #古今和歌集 0152 #jtanka #短歌 #夏 ねえ待ちなさい、山ほととぎすよ。言伝てしてはくれまいか。私はこの世の中に住みにくくなってしまったんだと。 「やよや」は強い呼びかけの感嘆詞。 「ことつてむ」は「こと+つて+む」で「事+伝て+む」。「伝て(つて)」は下二…

(梅の花を折りて人に贈りける)きみならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 038 #jtanka #短歌 #春 (梅の花を折って、あの人に贈ったときの歌)あなた以外の誰に見せましょうか、いえ、誰にも見せますまい、この梅の花を。この色の美しさも、この香りのすばらしさも、あなたにしかわからないのですから。 「きみならで」は「きみ+なら…

春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花

#読人しらず #古今和歌集 122 #jtanka #短歌 #春 春雨でつややかに美しい色も飽きないのに、色だけではなく香りまでも心ひかれる山吹の花ですねえ。 「にほへる色」は「にほへ+る+色」。「にほへ」はハ行四段活用「にほふ」の已然形。〔は・ひ・ふ・ふ・へ・へ〕。「る」は完了の助動詞「り」の連…