結城浩

書籍執筆者。著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。http://bit.ly/hyuki-mm にて「結城メルマガ」をnote配信中。https://bit.ly/girlnote にてcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

今年より春しりそむる桜花ちるといふことは習はざらなん

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 49 #jtanka #短歌 #春

春を知り始めたかのように今年から花を咲かせ始めた桜の花よ。どうか散るということは習わないでください。

「しりそむる」は「知り初むる」で「しり+そむる」。「しり」はラ行四段活用動詞「しる」の連用形。「そむる」はマ行下二段活用の補助動詞「そむ」の連体形。「しりそむる」は「しりはじめる」の意味。

マ行下二段活用〔め・め・

もっとみる
結城浩です。《スキ》を送ってくださり感謝。はげみになります!
14

ことならば咲かずやはあらぬ桜花見る我さへにしづ心なし

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 82 #jtanka #短歌 #春

こんなふうに散ってしまうということならば咲かないでいればいいのに桜の花よ。あなたを見る私の方までも落ち着かない気持ちになってしまうではありませんか。

「ことならば」は「同じことならば」の意味。「如(ごと)ならば」。

「やはあらぬ」は「やは+あら+ぬ」。「やは」は係助詞。反語や疑問でよく使われますが、ここでは「……や

もっとみる
結城浩です。《スキ》を送ってくださってありがとうございます!
8

久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 84 #jtanka #短歌 #春

日の光がのどかな春の日だというのに、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散るのでしょう。

「久方の」はここでは「光」の枕詞。

「のどけき」はク活用の形容詞「のどけし」の連体形。

「しづ心」は「落ち着いた心」。

「ちるらむ」は「ちる+らむ」。「ちる」はラ行四段活用動詞「ちる」の連体形。「らむ」は推量の助動詞「らむ」

もっとみる
結城浩です。《スキ》をしてくださるのは、大きなはげみです。感謝!
10

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年3月27日 Vol.313

■数式を見ると頭が真っ白になってしまいます - 学ぶときの心がけ
 ■生徒が解けない理由がわからなくて教えられない - 教えるときの心がけ
 ■「本を書く生活」の良し悪し - 本を書く心がけ
 ■どんな部下が欲しいか - 仕事の心がけ

はじめに

結城浩です。

いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

 * * *

『数学ガール/ポアンカレ予想』の話。

先日、ようやく再校読み合わ

もっとみる

恋すれば我が身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆへ

#読人しらず #古今和歌集 528 #jtanka #短歌 #恋

あなたのことを恋い慕うので私は影法師のようになってしまったのですねえ……だからといって恋い慕うあなたに寄り添うものではありませんのに。

「恋すれば」は「恋すれ+ば」。「恋すれ」はサ行変格活用「恋す」の已然形。「ば」は接続助詞。ここでは已然形についているので順接の確定条件となり「恋い慕うので」の意味。もしも「恋すれば」ではなく「恋

もっとみる

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし

#在原業平朝臣 (ありわらのなりひらあそん) #古今和歌集 53 #jtanka #短歌

もしも世の中にまったく桜がなかったなら、春を過ごす人の心はどれだけのどかでしょうね。

「たえて」は「まったく」の意味。

「せば……まし」は反実仮想の表現。実際とは異なることを仮定した場合を想像して語る。

「のどけからまし」は「のどけから+まし」。「のどけから」はク活用の形容詞「のどけし」の未然形。「ま

もっとみる
結城浩です。《スキ》を送ってくださってありがとうございます!
17